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【エリザベス女王杯】”苦心”を覚悟した斉藤調教師。超良血娘ジェラルディーナの才能を信じ『三位一体』で掴んだGⅠ初制覇

三好達彦

2022.11.15

 グレード制導入の1984年以降、史上初めてGⅠでの2着同着となった2頭、ウインマリリンとライラックは、タフな馬場状態を味方に付けて好走を見せた。

 ウインマリリンは一昨年のオークス(GⅠ、東京・芝2400m)でデアリングタクトの2着に入った実力馬。昨年は牡馬に混じって日経賞(GⅡ、中山・芝2500m)とオールカマーを制しており、そのポテンシャルを活かした積極的な競馬で、いったんは先頭に立つ見せ場十分のレースを見せた。

 ライラックは春のクラシックで大敗し、前走の秋華賞も10着だったこともあって12番人気という低評価だったが、馬場のいい外を回って自慢の末脚を爆発させた。タフな馬場も苦にしなかった父オルフェーヴルの仔らしく、「今回のような柔らかい馬場の方が良かった」とミルコ・デムーロ騎手がコメントしたように、予想を超える降雨もライラックに味方したようだ。
 
 一方、馬場コンディション悪化をモロに受けたのが上位人気馬で、1~3番人気に推された馬は全て馬券圏内から消えてしまった。

 4番枠から出たデアリングタクトは、直線で伸びかかったものの、好調時の走りには至らず6着止まり。故障を境に走りに迫力を欠いた印象は否めず、往時の力を取り戻す困難さを感じる結果となった。

 秋華賞馬スタニングローズは10番枠と、それほど内目ではなかったが、道中は外から被せられて思うように外へは出せず、「4コーナーで、すでに手応えがなかった」(坂井瑠星騎手)というように、直線はズルズルと後退する一方で惨敗に終わった。馬場適性の差はもちろんだが、秋華賞で激しいレースをした反動もいくらかあったのかもしれない。

 残念だったのは、苦しい展開のなかで5着まで追い込んだナミュール。11番枠から出ると馬群に入って進んだが、「向正面と1コーナー、3~4コーナーと、3回(他馬に)ぶつけられる不利があった」と横山武史騎手は悔しがる。これからは牡馬相手のレースが増えるだろうが、立て直しての活躍を期待したい1頭となった。

 なお、海外からの参戦となった愛オークス馬マジカルラグーンは果敢に先行したものの、最後の直線ではバテて最下位に沈んだ。馬場の悪化よりも、日本の競馬スタイルへの適性に問題があったのかもしれない。当初は11月27日のジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)にも参戦する予定だったが、陣営が14日、今回の結果を受けて回避を決めた。

文●三好達彦

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