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フィギュア

坂本花織や三原舞依ですら危うい!? 史上最高レベルの女子シングル代表争いの行方を占う【全日本フィギュア】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2022.12.21

今季GPファイナルを初優勝した三原(右)。紀平(左)は2019年と20年に全日本選手権を連覇している。写真:田中研治、(C)Getty Images

今季GPファイナルを初優勝した三原(右)。紀平(左)は2019年と20年に全日本選手権を連覇している。写真:田中研治、(C)Getty Images

 坂本がGPファイナルで思わぬ結果だったなか、逆転優勝を飾ったのは三原舞依だった。北京五輪の代表落選、2019-20シーズンには体調不良で全試合を欠場するなど、苦難のイメージがつく彼女だが、気持ちが折れることなく、真摯にスケートと向き合い続けた。

 今シーズン、幾多の逆境をバネにしたシンデレラは眩い活躍を見せている。

 三原はGPシリーズ初戦のイギリス大会で優勝し、シリーズ初参戦から10戦目で初めて頂点に立った。続くフィンランド大会も勝ち、女子唯一のGPシリーズ2連勝で初のファイナルに進出した。

 初の大舞台を踏んだ23歳は、2006年トリノ五輪が開催された会場でも氷上を楽しむかのような躍動する演技を見せた。「憧れの舞台」と語ったGPファイナルで、三原は金メダルを手にし、歓喜の涙を流した。

 三原は安定感あるジャンプに加え、美しいスピンでミスが少ないことが特長だ。今シーズン国際大会で負けなしの彼女は、いま最も勢いのあるスケーターと言えるだろう。海外の強豪スケーターたちと戦ってきた確かな自信は大きなプラス。これまでの挫折を力に変えて掴んだGPファイナル女王が、国内女王の座についてもおかしくない。
 
 一方で、全日本へ強い思いを持って挑むのが紀平梨花だ。紀平は大技トリプルアクセルを武器にシニアシーズン1年目(2018年)の16歳で浅田真央(2005年)以来のGPファイナル制覇を成し遂げると、全日本でも2連覇(2019、20年)を飾り、日本女子のエースとして順調な歩みを進んでいた。

 だが、2021年7月に右足首を疲労骨折すると、順風満帆だったスケート人生に狂いが生じる。右足首の回復が芳しくなく、2021年は全休場。夢だった北京五輪出場を断念する苦汁の決断を下した。

 今季はシニアに転向してから初めて地方大会からスタートを切った紀平。525日ぶりにリンクに戻ってきた彼女の復帰戦は、今年9月の中部選手権だった。まだ右足首が完治していないなか、演技構成の難度を落とし、”全日本出場のため”結果に拘った。

 得点は154.49点で6位。次のステップである西日本選手権はGPシリーズへの派遣が決まっていたため出場が免除され、全日本への出場権を確定した。得点のアナウンスを聞いた紀平は、胸をなで下ろし「良かった」と呟き安堵した。

 3年ぶりに参戦したGPシリーズではカナダ大会5位、フィンランド大会4位と着実に成績を伸ばし、一戦ごとにジャンプやスケートの質も向上しており、本人も手応えを感じている。

 代名詞であるトリプルアクセルや2年前の全日本で成功した4回転サルコウ(ISU非公認)のような大技はまだできないが、紀平が大舞台で再び輝くような演技を披露してくれる。そう思わずにはいられない。
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