第２セットは開始直後のラリーで、石川が乱れたセットをコート外からスタンディングで叩き込む。この一打に、東京五輪でイタリア代表を率いたチヴィタノーヴァのジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督は “参った”とばかりに両手を上げる。さらに石川は、サーブで相手を追い込み３連続ブレークに貢献。これで勢いに乗ったミラノは、MBアウグスティン・ロセルとパトリーがエースを連発。それぞれが２本を決め、セットポイントもポッロのエースで締めくくり、圧勝でセットを連取した。
 
　第３セットも序盤から優位に試合を進めたミラノ。しかし、絶好調だったサーブの確率が急降下し、リードを大きく広げることができない。すると、選手交代を試みたチヴィタノーヴァが中盤から猛攻を開始。終盤の入りに逆転を許して１点を争う展開へ突入する。そこでギアを上げたのは石川だった。２度のブロックアウトで相手へ傾きかけた流れを断ち切り、運を味方につけネットインエースでマッチポイントを奪取。直後、デュースへ持ち込まれるも、バックアタックで再びチャンスを引き寄せる。これをものにしたミラノが敵地で快勝し２連勝。２勝１敗として、クラブ史上初の決勝へ王手をかけた。

　石川は試合２位タイの13得点（アタック11、エース１、ブロック１）を記録。試合を生中継したイタリア公営放送の解説を務めた元同国代表のファビオ・ヴッロ氏は、ラリー中にセットが乱れたアウト・オブ・システムで次々と得点を奪う背番号14に、「絶句するプレー」、「物凄い技量だ」と感嘆の声を上げていた。

　加えて、「今シーズンの“イシカワ”は残念な負傷があったコッパ・イタリア準決勝以降、目を見張る進化を遂げていて、驚かされている。才能を爆発させていて、どのチームにもとっても脅威。間違いなくミラノのリーダーだ。そして、日本やアジアに留まらず、今や世界から注目され愛されている」と述べた。

　的確な解説が見識者からも高い評価を受ける同氏は、選手、チームや監督へ忖度のない厳しいコメントも度々。それだけに、石川へ向けられたこの言葉は最上級の賛辞と言えるだろう。

　準決勝第３戦のもう１試合は、２勝を挙げていたトレンティーノが後のないピアチェンツァに０－３で敗れた。トレンティーノは第４戦で勝利すれば決勝進出。敗れれば、第５戦が決戦となる。

　第４戦は、日本時間４月23日午前１時開始予定。ミラノは、ホームでクラブの新たな歴史がかかる戦いに挑む。

取材・文●佳子S.バディアーリ
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