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格闘技・プロレス

「モノが違う」――。関係者を震え上がらせた皇帝・ヒョードル。“最強幻想”の象徴だった男の意外な一面【PRIDE名戦士列伝】

橋本宗洋

2023.04.22

 ひとたびリングを降りれば、常に温厚。穏やかな微笑が彼のトレードマークでもあった。ロシアで取材した際、新しい携帯端末を嬉しそうにいじっていた姿も思い出す。来日すると絶叫マシーンを楽しむのも恒例だった。そんな一面を持つヒョードルだからこそ、リングで見せる“恐さ”がより際立った。

 2007年にPRIDEが活動休止になると、新たな活動拠点となったアメリカで試合を重ねた。当時、「最強」の名をほしいままにした“皇帝”の闘いぶりは、目の肥えたアメリカのファンも熱狂させた。

 だが2010年、ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)に予想外の一本負けを喫すると、2年後には引退を表明。そこから3年後にRIZINで復帰し、Bellatorにも参戦したが、アメリカでの闘いで負けが目立つようになると、今年2月にライアン・ベイダー(米国)とのリマッチに敗戦。事前の宣言通りにあらためて引退を発表した。
 
 ロシアではスポーツ省の特別補佐官を務めたヒョードルは、ウラジミール・プーチン大統領が試合を観戦したことでも話題になった。彼は紛れもなく、ロシア・スポーツ界における大スター。にもかかわらず、46歳まで現役を続け、破竹の連勝も、ショッキングな連敗も経験。ファイターとしてのあらゆる姿をファンに見せ切ったのである。

 ヒョードルは圧倒的な強さによって記録に残るファイターになったが、時折見せた切なさも含めて記憶に残るファイターでもあった。

取材・文●橋本宗洋

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