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格闘技・プロレス

「勝ったけど、勝ってない」朝倉未来がMMA再起戦後に漏らした不満。“単なる格闘家ではない”からこそ求めた「本物のプロの闘い」

橋本宗洋

2023.04.30

牛久との打ち合いの中で、笑みを浮かべた未来。ケージの外にまで伝わる緊張感のなかで自然に出た表情は、単純な楽しさだけでなく恐ろしさすら感じさせた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

牛久との打ち合いの中で、笑みを浮かべた未来。ケージの外にまで伝わる緊張感のなかで自然に出た表情は、単純な楽しさだけでなく恐ろしさすら感じさせた。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「勝ったけど勝ってない」

 試合後の未来はそう言った。彼は倒したかったのだ。

「(動きが)カタかったですね。あと牛久選手の身体が物理的にカタかった」

 なかなかうまくいかない。そういうところも含めて勝負であり、未来はそれに勝ったということだ。

 メイウェザー戦の次は、ブレイキングダウンに出場する予定もあった。もはや朝倉未来は単なる格闘家という以上の存在で、RIZINでのMMAにどれだけの情熱を注いでいるのかが見えにくくなっていた面もある。
 
 だが、牛久との試合で分かったのは、やはり未来にとっての“軸”はMMAであり、煽り映像での彼の言葉を引用すると「本物のプロの闘い」だ。MMAでシビアな闘いに臨み、うまくいかない部分も味わいながら勝利をもぎ取る。そういう姿が何よりも魅力的だった。

 思うような展開にならず、焦って強引に攻めるようなところがなかったのも、未来らしさだろう。強引に攻めれば、満員の観客は盛り上がったはずだが、相手に反撃する隙を与えてしまうかもしれない。牛久は未来の強さについて「熱く、冷静でした」とコメントしている。“路上の伝説”と呼ばれる未来だが、クレバーだからこそここまで勝ち上がってきたのだ。

 試合中に笑顔を見せる場面もあった未来は「年内もう1試合したい」と言う。ターゲットは、かつて一本負けを喫した現フェザー級王者のクレベル・コイケだ。彼は6月に鈴木千裕との防衛戦が控えているが、いずれにしても、クレベルとのリマッチは実現させたいと意気込んでいる。

 加えて、未来は斎藤に敗れた平本の成長も評価する。「タイミング次第で、俺はいいですけど」と対戦を否定しなかった。ファンも望む朝倉未来vs平本蓮の実現についてはRIZINの榊原信行CEOも、今回の結果で完全に消滅したわけではないとコメントしている。6月のクレベルvs鈴木を含め、さまざまな展開の可能性があるのが、いまのRIZINフェザー級だ。

 朝倉未来は、これからもRIZINの話題の中心であり続ける。それも全ては勝ったからこそ。群雄割拠の階級で、生き残ったという意味でも大きな一戦だった。

取材・文●橋本宗洋

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