もちろん、そのためのチェックは怠らず、父親でありコーチでもある勝臣氏が常に目を光らせている。勝臣氏はプロゴルファーではないが、弾道測定器のトラックマンやいろいろな練習器具を使ってスイングチェックを行なっている。幼い頃から山下のスイングを見ていることもあり、本人からの信頼も厚い。

　トーナメント終了後は必ず帰りの車中で父親と反省会を実施するが、そこでは主にコースマネジメントについての話題が多い。勝てなかった試合はもちろん、優勝した試合の後でも反省はマストで行なわれる。その試合がゴールではなく、あくまでも通過点という考え方が父娘にあるからだ。どんなに結果が良くても山下から「満足した」というコメントが聞かれない理由がそこにある。

　心技体のうち、メンタル面と技術面に関しては勝臣氏が見て、身体面に関しては専門のトレーナーにお願いするが、毎週月曜日に体のケアやトレーニングをやることで、連戦の疲労を最小限に抑えている。今季、山下は歴代２位となる６週連続トップ３入りという偉業を達成したが、心技体がすべて充実しているからこそ生まれた記録と言えるだろう。
  　ただ、昨年よりも成長していると感じさせるのは、試合運びにもある。優勝を争う相手がミスをしてボギーを叩いたホールでは、かなりの確率でバーディを奪っているが、そうすることで、試合の流れを自分に引き込んでいるのだ。逆に、相手がバーディを奪うようなときはミスをする確率が低く、流れを渡さないようにしている。技術面では隙が無く、試合の駆け引きも上達しているのだから、現在のポジションにいるのも当然だろう。

　あとは、その実力を海外メジャーの舞台でどれだけ発揮できるか。飛距離やパワーの差に惑わされなければ、上位に入る可能性は十分あるはずだ。

構成●THE DIGEST編集部

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