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ラグビー

ラグビーW杯まで2か月…NZ代表予備軍と対峙した日本代表の“スクラム、防御、攻撃”の完成度は?

向風見也

2023.07.17

 まず、試合開始早々のピンチを切り抜けた。

 前半22分頃には、中盤で左右に振られながら大きな数的優位を作らせなかった。向こうのキックミスを促し、事なきを得た。

 追加点を許して13―41とされた後半11分も、ゴールラインを割られるまで自陣ゴール前で約3分も耐えた。

 35分には、途中出場の長田智希が自陣ゴールライン上から鋭く前に出た。まもなく相手がパスミスを犯した。
 
 このシーンは、反省点が見つかったという意味でも価値があった。今年初代表の長田自身、こう振り返る。

「ゴール前は引くとやられる。ただ、あそこの場面は僕の外にいたセミシ(・マシレワ=ウイング)とコミュニケーションが取れていなくて、僕だけが勝手に突っ込んで(ラインに凸凹ができた)。少し、トライを獲られそうな感じでした」

 その他、前半9、12、38分と、防御の連携を崩されて失点している。

 防御がうまくいった場面とそうでない場面の違いについて問われ、長田は改善点を明らかにする。

「ラインスピードを高い位置まで上げる。その意識はあるんですけど、『上げながら、(互いに)繋がりながら…』というところが足りないと感じます」

 改善と言えば、攻撃ではノートライに終わった初戦よりも効果的に球をさばけた。

 ここからは主に中央に並ぶフォワード陣がショートパスを交えながら前進し、大外に数的優位ができればそちらへ大胆につないだ。

 前半25分にフルバックの松島幸太朗がトライを決めたシーン、足が止まった相手を追い上げた後半14分、19分の得点場面では、トニー・ブラウンアシスタントコーチが引いた図面がくっきりと浮かんだ。

 悔やまれるのはミスだ。

 ブラウンの設計図通りにチャンスを作りながら、落球を頻発させた。失点に直結したシーンもある。相手の指揮官、レオン・ホールデンは漏らす。

「日本代表にミスがなければ、もっと接戦になっていた」

 この手のエラーは個人の責任が問われがちだが、司令塔の李は述べる。

「まず、自分たちがアタック(の陣形)を早くセットしなければいけない。また、ボールをロストした後のリアクションももっと(速く)。そうすることで、もっと精度が上がる」

 組織を形成する意識をより磨くことで、個人のミスを目立たないようにしたい。

 7月22日からは、環太平洋諸国とのパシフィック・ネーションズカップの3連戦に挑む。正規のテストマッチにあって、目指すスタイルの再現性を高め続ける。

取材・文●向風見也
【動画】オールブラックスXVとの第2戦ハイライト

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