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格闘技・プロレス

井上尚弥はメイウェザー 、パッキャオ級の“伝説”を作れるのか――フルトン戦での戦いぶりから“モンスターの可能性”を探る

橋本宗洋

2023.08.19

フルトンに8回TKO勝利を収めた井上。(C)松尾/アフロスポーツ

フルトンに8回TKO勝利を収めた井上。(C)松尾/アフロスポーツ

 では、井上の場合はどうだろうか。彼にとって、ひとまずは現在のスーパーバンタム級がベストだと言えるだろう。バンタム級では減量が厳しくなっており、むしろ階級を上げたことで中身の濃い練習ができているはず。フルトン戦を見ると取り立てて「小さい」、「非力」という感じもなかった。いや実際にKOしているのだ。

 そのパンチ力は、スーパーバンタム級でも充分すぎるほどに通用した。ここからさらに階級を上げれば、相対的なパンチ力は下がる。相手が大きくなり、それだけタフになるからだ。とはいえフェザーあるいはスーパーフェザーに階級を上げるとしたら、井上は充分なパワー(筋力)アップをするはずでもある。

 井上が単なるハードパンチャーではないことも重要だ。フルトンは自分に初黒星をつけた井上について、パンチ力はもちろん技術、タイミングを称えている。

 この試合の井上はボディへのジャブを多用。しかもそこから様々なパンチへコンビネーションをつなげた。ボディショットにフルトンが対応して打ち返すと、そこにカウンター。そうやって追い詰めておいて、ボディへのジャブから顔面への右ストレートで決定的なダメージを与えKOにもっていった。

 他の試合にしてもそうだ。井上は決して力でねじ伏せるような勝ち方をするタイプではない。最終的にそう見えたとしても、相手を手詰まりにさせダメージを蓄積させたのはパワーとテクニックとスピード、そしてタイミングの総合力なのだ。

 そういう井上であれば、階級を上げて体格やパワーで不利になっていきながらも、それが決定的なビハインドになることはないだろう。まだ先の話だと前置きしたうえで、フェザー級やスーパーフェザー級での活躍は非現実的なものではないと言いたい。
 
 仮にフェザー級、スーパーフェザー級の世界王座を獲得したとして、それはフロイド・メイウェザーJr.(米国)の5階級制覇を上回る偉業となる。ライトフライ級に始まり、フライ級を飛ばして6階級。ちなみにマニー・パッキャオも6階級でベルトを巻いている(リングマガジン認定王座も含めると8階級)。

 井上自身、最終的にはスーパーフェザーまで上げるという考えも持っているようだ。そこで戴冠すれば、井上はメイウェザー 、パッキャオ級の“伝説”となる。決めるのはあくまで本人だということは強調しなければならないが、どうしたって期待したくなるではないか。

文●橋本宗洋

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