パンジャタワーは、現役時代にスプリンターズステークス(GⅠ)などを制したタワーオブロンドンの初年度産駒。昨年の11月に京王杯2歳ステークス(GⅡ、東京・芝1400m)を制していたが、そのあと朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、京都・芝1600m)でアドマイヤズームの12着(1秒7差)に敗れたが、3歳初戦となったファルコンステークス(GⅢ、中京・芝1400m)で0秒1差の4着に入賞。マイル戦での大敗によって距離適性が疑われて人気を落としていたが、その低評価に反発するような快走でロングショットを放った。
松山弘平騎手にとっては4年ぶりのGⅠ制覇で、橋口慎介調教師と生産者のチャンピオンズファーム(北海道・新ひだか町)にとっては初のGⅠタイトルとなった。
皐月賞(GⅠ、6着)から転戦してきたマジックサンズは、このレースから乗り替わった武豊騎手が選んだ後方待機策が見事にハマっての2着。差が差だけに陣営は悔しいだろうが、秋以降は本馬がマイル路線の中心になっていくだろうと思わせるに足る抜群の切れ味を見せつけた。
3着のチェルビアットと4着のモンドデラモーレは、低評価を覆しての好走。前者は3番枠、後者は1番枠という好材料を生かして、インコースでの距離損を避けた立ち回りが秀逸だった。加えて、この超ハイペースを中団で追走しながら、最後は勝ち負けに加わったポテンシャルには一定の評価をせねばなるまい。
NHKマイルカップとの相性はあまり良くないと言われるニュージーランドトロフィーの1、2着馬のアドマイヤズーム、イミグラントソングは激しい流れにのみ込まれて大敗を喫した。
アドマイヤズームは早い時点で右後肢を落鉄していたようだが、装蹄師の世界の常識であるように、落鉄そのものが走りに影響するものではなく(蹄鉄は蹄の保護が目的の装具であるため)、あるとすれば馬が異変に気付いた際のメンタル面への影響である。
しかしながら筆者はそれよりも、他馬より明らかに多量だった発汗や、馬場入場の際にやや手間取ったことにも見られたような“イレ込み”が目に付いた。レースでも、あのハイペースでも掛かり気味になっていたところを見ると、テンションが上がりすぎていたのは確かだろう。ビッグレースへの仕上げの上手さに定評がある友道調教師をしても、こうした筆の誤り的な事象が起こるのだから競馬は本当に難しい。
文●三好達彦
【記事】現代の名手たちの卓越した手綱さばきが強く印象に残った春の盾。一方、一昨年覇者の掲示板外には大きな疑問符【天皇賞(春)】
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3着のチェルビアットと4着のモンドデラモーレは、低評価を覆しての好走。前者は3番枠、後者は1番枠という好材料を生かして、インコースでの距離損を避けた立ち回りが秀逸だった。加えて、この超ハイペースを中団で追走しながら、最後は勝ち負けに加わったポテンシャルには一定の評価をせねばなるまい。
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アドマイヤズームは早い時点で右後肢を落鉄していたようだが、装蹄師の世界の常識であるように、落鉄そのものが走りに影響するものではなく(蹄鉄は蹄の保護が目的の装具であるため)、あるとすれば馬が異変に気付いた際のメンタル面への影響である。
しかしながら筆者はそれよりも、他馬より明らかに多量だった発汗や、馬場入場の際にやや手間取ったことにも見られたような“イレ込み”が目に付いた。レースでも、あのハイペースでも掛かり気味になっていたところを見ると、テンションが上がりすぎていたのは確かだろう。ビッグレースへの仕上げの上手さに定評がある友道調教師をしても、こうした筆の誤り的な事象が起こるのだから競馬は本当に難しい。
文●三好達彦
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