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競馬

【名馬列伝】26年前、地方から中央を制したメイセイオペラ “岩手の英雄”がもたらした日本競馬史上唯一の快挙

三好達彦

2025.10.15

 1999年1月31日。フェブラリーステークス当日の東京競馬場は午前中から大勢のファンの熱気で沸いていた。岩手からは大挙してメイセイオペラ応援団が詰め掛け、一般ファンにも地方馬の快挙に立ち会いたいとの思いで駆けつけた人が少なくなかった。

 メイセイオペラの評価は、中央のワシントンカラー(4.5倍)にはわずかに届かない4.7倍の2番人気。それでも、オースミジェット、タイキシャーロック、キョウエイマーチなど、中央の一線級よりも分厚い支持を得ていた。

 レースはメイセイオペラの独壇場だった。9番枠から好スタートを決めたメイセイオペラは、しばらく続く芝馬場も難なくクリア。すんなりと流れに乗って外目の5番手という好位置を確保。1000mの通過が60秒3というミドルペースを折り合って進み、慎重に馬群の外を回して直線へと向いた。

 逃げたキョウエイマーチが粘るところ、坂下で菅原勲からゴーサインを受けたメイセイオペラはギアを上げてラストスパートに入る。その脚の鋭さは1頭だけ抜きん出たもので、一完歩ごとに前へ迫ると残り150mあたりでキョウエイマーチを交わす。そして力強く後続を突き放すと、2着のエムアイブランに2馬身もの差を付けて悠々とゴール。菅原は感極まった様子で右手でガッツポーズを作って喜びを爆発させた。そのときオーナーの小野寺明子は夫の遺影を手にしながら声を枯らして愛馬を応援していたという。

 芝コースに入ってウイニングランするメイセイオペラと菅原勲を迎える満場の観客は、”イサオ・コール”でコンビを迎えた。
 
 その後、6月の帝王賞(JpnⅠ)を4馬身差で勝利して貫禄を見せたメイセイオペラ。しかし右前肢の球節炎を発症して順調さを欠き、東京大賞典は11着に敗退。翌年のフェブラリーステークスも本調子には戻らず4着に、また続く帝王賞も14着に敗れてしまった。そして8月末のみちのく大賞典を楽勝して同一レース3連覇を達成。再度期待が高まったが、残念ながら左前脚の浅屈腱炎を発症。現役を引退して種牡馬入りした。

 初年度から84頭に種付けする人気を博したメイセイオペラは、その産駒を輸入した韓国の競馬関係者から熱心な誘いを受け、3年間の期間限定でレンタルされた。当地では、三区のソスルッテムンが韓国の皐月賞にあたるKRAカップマイルに優勝するなどの活躍を見せた。そして2016年、日本への帰国を控えた7月1日。繋養先の牧場で心不全のために急死した。22歳だった。

 フェブラリーステークスで快挙を達成したメイセイオペラと菅原勲を迎えるとき、熱狂とは明らかに違う、そこに流れた何とも温かなムードは本当に心地よく、つい笑みを浮かべてしまうような幸福感にあふれていたことが、今も記憶に残っている。(文中敬称略)

文●三好達彦

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