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フィギュア

宇野昌磨に訪れた変化。ランビエル氏との出会いによって見つけた“自然体の自分”

辛仁夏

2021.01.13

「いつまでスケートを続けられるかわからない(競技人生の)中で、ステファンコーチという存在に恵まれ、僕にはスケートを楽しむことしかないとわかったし、僕が今までやってきたご褒美だと思って楽しむことも必要だな、と。もちろんスケートを楽しみたいですけど、負けず嫌いなので目標を持って練習することに充実感を得ながらやってきました」

 コロナ禍の中で一時は自分のやっている練習に迷いが生じ、目標を見失いかけたこともあった。それでも、「スケートの楽しさ」を見つけることができた宇野は、一皮むけたというより鎧のような殻を脱ぎ捨てて、自然体で競技生活を楽しんで取り組めるようになったようだ。
 
 また、技術面では課題だったジャンプのランディングが流れるようになってGOE(出来栄え点)加点を引き出せるようになった。音楽との一体化がより成熟され、タメや余韻のある滑りで見る者を引き込む演技に、今季の成長ぶりが見られた。基本に忠実なジャンプと豊かな表現力を兼ね備えた選手だったランビエルコーチの下で、宇野の演技は着実に磨かれていることは間違いない。動きにメリハリがつき、手先の使い方にも気を配り、スピンの軸も回転速度も格段にうまくなっていたからだ。

 今季やっと1試合をこなした宇野は、その貴重な1戦でかけがえのない「目標」を再確認できたという。

「僕にとってゆづくんは最終目標。(実力差は)まだ2歩くらい届かない」

 この2歩をどう縮めていくのか。ランビエルコーチとの2人3脚でさらなる“化学反応”を起こしてほしい。宇野の変貌ぶりに、そんな期待が膨らむ。

文●辛仁夏 YINHA SYNN
1990年代に新聞記者となり、2000年代からフリーランス記者として取材活動を始め、現在に至る。フィギュアスケート、テニス、体操などのオリンピック種目からニュースポーツまで幅広く取材する。
 

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