そこで興味深かったのはファンの反応で、期待を裏切られたと怒る声があった一方、「ゴールドシップらしいな」と苦笑しつつ素直に諦める人も少なくなかったのだ。これは、時に犯す大ポカも含めて彼の魅力なのだと捉え、愛するファンがたくさんいるというゴールドシップのユニークな存在を表す現象だといえるだろう。
  　約４年半の競走生活での戦績は28戦13勝。そのうち、ＧⅠレース６勝を含み、勝利した重賞は11を数える。この戦績において稼ぎ出した総賞金は13億9776万7000円となって、ＪＲＡの高額賞金獲得馬ランキングでは、上位五傑に入っている。大きな怪我もなく、「無事是名馬」の格言を地で行くように長く走り続けたがゆえの立派な記録だ。

　ときに懸命に、ときに気ままに、常に我が道を貫いた「異能の天才」、ゴールドシップ。これまで種牡馬としては重賞勝ち馬を１頭出しただけだが、そう遠くない日に、ファンを驚かせるような“黄金の仔”をターフに送り込んでくれることを信じて、ファンは待ち続けている。（文中敬称略）

文●三好達彦

【関連動画】これぞ「ゴルシ伝説」の２レース！“破天荒ロングスパート“の皐月賞と“記録的な出遅れ“の宝塚記念の映像はこちら