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食と体調管理

「高校の時から体重に変化なし」フリークライマー野口啓代が心がけてきたのはパフォーマンス向上のための食事

THE DIGEST編集部

2022.03.01

(C)Getty Images

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――迷っていた?

「あと何年選手をやろうかな」と思っていたくらいの20代後半になってオリンピックの話が持ち上がったんです。その時に、30代の自分がどれだけ体力を維持できているのか、若者と戦えるのか、モチベーションについても考えました。東京オリンピックは1日で3種目をこなすレギュレーション。私はボルダリングとリードはやっていたんですが、スピードは苦手な種目でもあったので、それをオリンピックまでに克服できるかなという心配もあったんです。

 でも、最終的には自国開催だから出たいなという気持ちが勝ちました。子どもの頃から家族のサポートやマイナースポーツならではの周りの応援も感じていたので、キャリアの最後にそういった人たちにいいところを見せて感謝の気持ちを伝えたいという気持ちも出てきたんです。それで、「オリンピックを目指す」とハッキリ言えるようになりました。

――実際に出てみてどうしたか?

 メダルも獲得できて、すごくよかったと思っています。ただ、思い返してみると、26歳の苦しかった時期に、よく覚悟を決めたと思いますね。五輪を目指すのをためらっていた頃は自信がなくて……。足を怪我してうまくいかなくなって、そこからのスタートでしたから。

――クライミングは体重管理も大事という印象がありますが、食事の面で気を付けていることはありましたか?

 食事の内容は自分のパフォーマンスに直結しますよね。それこそ睡眠の質や集中力に影響するので、食事の内容には気を付けていましたが、体重については実際に登ってみて自分が軽く感じるか重く感じるのかを重要視していました。だから、私の場合、「体重」管理ではなく、「体調」管理でしたね。

 クライミングは軽い方が有利とか、太っていたらできないと思う方も多いかもしれませんが、全然そんなことはないんです。自分の身体を一番コントロールできる自分のなかでのベスト体重があると思います。

 私の場合は、今でも高校生の頃と体重が全く変わっていません。スピード(種目の中のひとつ)をやるようになって下半身の筋肉がついたとか、高校生の頃よりも腕が太くなったとか、筋量が増えたとか、体形の変化はあるんですが、体重自体は全然変わらない。それは毎日のように登っていて、毎日自分の身体を扱っていたからだと思います。

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