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食と体調管理

「高校の時から体重に変化なし」フリークライマー野口啓代が心がけてきたのはパフォーマンス向上のための食事

THE DIGEST編集部

2022.03.01

写真:徳原隆元

写真:徳原隆元

――年齢を重ねるにつれて、食事の量に変化はありましたか?

 3種目をやるようになってからは本当にエネルギーの消費が激しくて、食べていないと間に合わなかったですね。ひとつの大会が終わると体重が1キロとか落ちてしまう。それだけ消費していたので、頑張ってタンパク質を入れないとベスト体重から落ちてしまう状態でした。

――コンディション維持のために意識的に摂るようにしていたものはありますか? 

 たくさんありましたが、意識していたのは基本的にはバランスよく食べることです。私は炭水化物も食べていましたし、タンパク質もしっかり摂っていました。ただ、グルテンはあまり摂らないようにしていました。それによって睡眠の質が上がったり、身体が軽く感じたりしましたね。

――特に好きな食べ物はありますか?

 割と何でも好きですけど、やっぱり和食ですね。海外に行くことが増えて、より日本食が好きになりました。お寿司も好きですし、出汁の味も好きです。海外にはお味噌汁や醬油を持っていきましたし、日本に帰ってきたらお茶漬けやうどんを食べたいなと思いますね。

――海外では自炊もしていたのですか?

 以前はアパートを借りて自炊をしながら滞在することもありましたが、最近は日本チームでの行動が多く、自炊することはなくなりました。自分で作ったり選べた方が塩分を抑えたり、食事の種類も充実しますが、今は日本チームの体制もしっかりしていますし、競技に集中できる環境ではあると思います。

――そういった環境のさらなる充実は、これから野口さんが活動していくなかで目指していくところでもありますね。

 サポート体制は充実させていきたいですね。スポーツクライミングはオリンピックで初めて行なわれた追加種目くらいのレベルなので、もっとオリンピックのなかでも人気種目にしていきたいなとも思います。自分が苦労したとは思っていませんが、これからの日本人選手やユースの選手に対して、本当にサッカーや野球のような待遇ができるような種目になってくれればいいですね。

――最後に、これからクライミングに挑戦する方たちへのメッセージをお願いします。

 私にとっては役目であったり、自分が好きなこと、活躍できる場がクライミングでしたが、それは人によってなんでもいいと思います。私はたまたまグアムのゲームセンターで出会いましたが、子どものうちはたくさんのものにチャレンジしたり、得意不得意に関係なくいろいろやってみて、出会いをもってほしいですね。

 私はスポーツが得意なわけではなかったのに、アスリートになったり、オリンピックに出たりと意外な場所に来ました。これは家族旅行でグアムに行ってクライミングのゲームをやらなかったら始まらなかったことでしたが、そういうことって日常にすごくたくさんある。なんでもやってみたら案外はまったりするので、いろいろ挑戦してほしいと思います。

【プロフィール】
1989年5月30日生まれ、茨城県出身。165㎝
TEAM au所属
小学5年生の時に家族旅行先のグアムでフリークライミングに出合う。翌年行なわれた全日本ユース選手権で中高生を抑え、いきなり優勝。その後もクライミングで重要な保持力と呼ばれるホールドをつかむ指先の強さを武器に、国内ではジャパンカップは9連覇を含む優勝11回、海外では2008年のワールドカップボルダリング種目では日本人として初優勝。さらに09年、10年、14年、15年と年間総合優勝を成し遂げた日本クライミング界の女王。初めてのオリンピックとなった東京2020を最後に、現役を引退。

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