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【名馬列伝】“伝説”と呼ばれるウオッカvsダイワスカーレットの直接対決。ハナ差2㎝に散った松田国英調教師の『言葉』<後編>

三好達彦

2022.10.29

 2009年も現役を続けたウオッカは、春にはヴィクトリアマイル、安田記念とマイルGⅠを連勝。秋には天皇賞(秋)の連覇を目指したが3着に敗れた。だが、続くジャパンカップでは先行策から直線で抜け出すと、激しく追い込むオウケンブルースリをハナ差抑えて優勝。3度目の挑戦で初めて同タイトルを制した。

 手にしたGⅠタイトルはついに『7』となり、シンボリルドルフ、テイエムオペラオーが記録した当時のGⅠ最多勝記録に並んだ。のちにディープインパクトもGⅠ7勝を記録し、また牝馬のアーモンドアイが本記録を『9』に更新している。2009年にGⅠレースで3勝を挙げたウオッカは、前年に続いてJRA賞年度代表馬に選出されたが、これは牝馬として史上初の快挙だった。

 ウオッカは翌2010年、ドバイワールドカップ(GⅠ、メイダン・オールウェザー 2000m)を引退レースと定めて遠征したが、8着に敗れた前哨戦のアル・マクトゥームチャレンジ・ラウンド3(GⅢ、メイダン・ダート2000m)で鼻出血を発症。前年のジャパンカップのレース後にも同じ症状によって出走停止になっていたこともあり、ドバイワールドカップへの参戦を見送り引退が決定。欧州のトップサイヤーと交配したいという谷水雄三オーナーの意向で、当地からアイルランドに輸送され、名門牧場であるギルタウン・スタッドで繁殖生活を送ることになった。
 
 ウオッカは09年凱旋門賞や英国ダービーを制したシーザスターズ、14戦全勝(うちG
Ⅰ10勝)の怪物フランケルなど、超一流の人気種牡馬と交配された。初年度から5頭の産駒を生み、日本に輸入されたが目立った活躍馬は出ず、残念ながら繁殖馬としては成功するに至らなかった。

 2019年の春。ウオッカは交配のために訪れた英国・ニューマーケットの牧場で重い骨折を起こしていることが判明。手術を受けて治療を続けていたが、その段階で蹄葉炎を発症。現地時間4月1日、安楽死措置によって息を引き取った。15歳という若さだった。

 老いも若きも、年代を越えてファンの心を掴んで離さない、華のある馬だった。良きライバルに恵まれた馬だった。いくつものミラクルを見せてくれた愛すべき馬だった。時は過ぎ、調教師の角居勝彦は引退し、カントリー牧場はすでに閉じられ、オーナーだった谷水雄三も今年、馬主から退いた。

 これらの出来事には寂しさを感じざるを得ないが、今も映像の中では疾駆するウオッカが放つまばゆいまでの輝きは決して失せることはない。

文●三好達彦

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