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バレーボール

「サーブで崩せない選手は外す」眞鍋監督が徹底強化を図る日本の生命線。なぜ世界を越えるための最重要課題なのか?【女子バレーVNL】

北野正樹

2023.06.05

林(写真)はドミニカ共和国戦で低くて速いサーブで相手を崩した。写真:北野正樹

林(写真)はドミニカ共和国戦で低くて速いサーブで相手を崩した。写真:北野正樹

 東京五輪1次リーグ敗退からの再建を託された眞鍋監督の脳裏に浮かぶのは、28年ぶりのメダル獲得で日本中を沸かせた2012年ロンドン五輪だ。

「サーブ、サーブレシーブ、ディフェンスで世界一を取ろう」を合言葉に2年前から強化を進め、ディフェンス面ではトップクラスに並んだが、サーブ、サーブレシーブでは4、5位と伸び悩んだ。
 
 チームの組織力で底上げが出来るディフェンスと違い、個人技が求められるサーブを改善するのは難しい。それでも、竹下佳江や中道瞳、荒木絵里香らが練習を重ね、それぞれに工夫を凝らして、ロンドン五輪ではサーブ効果率も参加12チーム中、トップクラスになったという。

 成果が顕著に表れたのが、準々決勝の中国戦だった。フルセットに持ち込まれた最終セット。14-15、15-16と2度もマッチポイントを奪われたが、16-16からピンチサーバーとして出場した中道が中国のレシーブを崩し、荒木がダイレクトで決め17点目。最後も中道がサービスエースを決めて、準決勝進出を果たし、28年ぶりのメダルにつなげた。

 ロンドンの再現を狙い眞鍋監督が立ち上げたのが、サーブ強化のための「タスクフォース」だ。緊急性のある課題を解決するため一時的に編成される特別チーム。

 自身をリーダーに、川北元・総括兼サーブコーチ、渡辺英児メンタルコーチ(龍谷大学理工学部教授、スポーツ心理学)らスタッフのほか、日本女子代表復活をサポートするロンドン五輪メンバーの「アントラージュ」から竹下、荒木、中道さんら4人の計13人を選んだ。
「限られた時間の中、科学の専門家やアントラージュら日本の英知を結集して取り組んでいく」という眞鍋監督だが、効果は早くも現れた。

 大会前の5月9日から始まった鹿児島県薩摩川内市での第2回国内合宿で、荒木や中道、竹下さんらがサーブを伝授。

「劇的に変わった」と眞鍋監督が評した林は、「荒木さんや中道さんからトスの高さを意識することの大切さなどを教わり取り入れている。サーブを打つ前は自信を持っていないといいサーブが打てないので、いいイメージを持ってどこに打つかをしっかりと決めて打つようにしています」という。

 また、荒木さんから指導を受けた荒木は「ミスをしたらどうしようという気持ちが先行して、裏目に出てしまうタイプなのですが、荒木さんは否定することから入らず『すごくいいよ。間違ってはいないから修正していけばいい』と言ってくれ、ポジティブ志向で攻めの気持ちを忘れずに打つことが出来ました」と感謝する。
 
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