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競馬

【名馬列伝】「落ちこぼれの星」「奇跡の馬」と称されたヒシミラクル。遅咲きのステイヤーが起こした“三度のミラクル”

三好達彦

2025.03.17

 その後、ヒシミラクルは使い詰めの反動が出たのか、有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)を11着に敗れると、年明けの阪神大賞典(GⅡ、阪神・芝3000m)が12着、大阪杯(GⅡ)が7着と3連敗。口さがないファンの間では彼の菊花賞優勝をフロック視する声も多く聞かれるようになっていた。

 だが、ここから彼は名前通りに奇跡の復活を遂げる。春の天皇賞(GⅠ、京都・芝3200m)に出走したヒシミラクルに対してファンが下した評価はオッズ16.1倍の7番人気。だが彼はレースの前半を中団の後ろ目で待機し、菊花賞と同じように第3コーナーの手前から徐々に位置を押し上げながら最終コーナーを回って直線へ向いた。

 すると、激しく手綱をしごく鞍上の叱咤に応えて馬群からわずかに抜け出すと、追いすがるサンライズジェガー、ダイタクバートラムを抑えて優勝。前年秋にスターダムへのし上がった淀の長丁場で再度の快走を見せつけた。
 
 次走の宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)へ進んだヒシミラクルだが、ここへはシンボリクリスエスをはじめ、アグネスデジタル、ネオユニヴァース、タップダンスシチーら、古馬中長距離路線のトップクラスが顔を揃えたうえ、2200mは彼にとって距離が短いのではないかという疑問も差し挟まれたため、天皇賞(春)快勝後にもかかわらず、単勝オッズ16.3倍の6番人気にとどまった。

 ヒシミラクルは前走と同じように中団の後ろ目からレースを進め、第3コーナーから鞍上の手が激しく動くが、なかなか前との差が詰まらず、8番手で最終コーナーを回る。そして直線へ向くと、馬群からタップダンスシチーが先頭に立つが、そこへ外から猛追したのがヒシミラクル。坂上でタップダンスシチーを交わすと、最後方から伸びてきたツルマルボーイをクビ差抑えて優勝した。

 他のライバル勢をみるとネオユニヴァースが4着、シンボリクリスエスが5着、アグネスデジタルが13着と、上位人気馬たちの期待を裏切る凡走にアシストされた部分もあったが、彼はまたも単勝二桁オッズでのGⅠ戴冠を果たしたのだった。この連勝が大きなインパクトを残し、ヒシミラクルは2003年度JRA賞最優秀父内国産馬に輝いた。
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