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競馬

【名馬列伝】「落ちこぼれの星」「奇跡の馬」と称されたヒシミラクル。遅咲きのステイヤーが起こした“三度のミラクル”

三好達彦

2025.03.17

 そして、ヒシミラクルを語るときに忘れてはならない出来事がある。彼が三度目のミラクルを起こした宝塚記念でファンから大きく注目される出来事があった。レース前日の午前11時ごろ、東京・新橋にあったウインズ(場外馬券発売所)でヒシミラクルの単勝に1222万円という大口の購入があり、そのため一時ヒシミラクルの単勝は1.7倍の1番人気になったのだ。

 最終的には前述したように16.3倍の6番人気に落ち着いたものの、ヒシミラクルの激走によって、新橋で彼の単勝を大口購入した人物の払戻しが何と1億9674万2000円、宝塚記念の優勝賞金1億3000万円を大幅に上回る約2億円にも及んだことが判明。マスコミは”的中者探し”に奔走し、「サラリーマン風のおじさんだった」という目撃談から、競馬ファンの間では「ミラクルおじさん」の呼称まで生まれた。

 一説によると、その”おじさん”はウインズで安田記念の単勝馬券(9.4倍のアグネスデジタル)を130万円分払戻し、その総額を宝塚記念のヒシミラクルに投じたという。いかにも意外性の馬、ヒシミラクルによく似合う愉快な騒動だった。
 
 その後、ヒシミラクルは勝利を挙げられないまま、右前繋靭帯炎のため2005年5月に現役を引退。2010年には種牡馬からも引退し、あの奇跡の春からまもなく22年が経とうとする今は功労馬として北海道・浦河町で余生を送っている。(文中敬称略)

文●三好達彦

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