石川はチーム２位の20得点（アタック19、ブロック１）を記録。日本人男子として初の欧州制覇を成し遂げ、ペルージャ待望の初冠に多大に貢献したメンバーの一人としてクラブ史に名前を刻んだ。

　準決勝、決勝と敗れたチームの落胆した表情やユニホームに顔をうずめてフロアに座り込む様子は、世界トップレベルのプレーヤーを擁する強豪が揃う欧州で頂点を極めることがどれほど大きな価値を持つのかを物語っていた。

　イタリア国内４つの空港からポーランドへ駆けつけたペルージャのサポーターは総勢180名。鳴り物の運搬が困難だったため、準決勝では声の応援に終始したが、決勝では準決勝でザビエルチェに敗れたヤストシェンブスキ・ヴェンゲルのサポーターの厚意で太鼓を調達。会場いっぱいに響いたエールにはそんな胸の温まるエピソードがあった。そして、個人賞の発表が始まると、日の丸を用意して格別な活躍を見せた石川の名前が呼ばれるのを心待ちにしていたサポーター席。受賞が叶わなかったことが分かると、「俺たちの中ではユウキがMVPだ！」と声が上がり、“イシカワ”コールの大合唱が鳴り響いた。
  　ペルージャでの初シーズンを最高の形で締めくくった石川。自らのパフォーマンスでプロキャリア初となる一番良い色のメダルを手にしたことは、「勝つためにここに来た」と口にした新天地での決意をまさに有言実行してみせたと言えるだろう。

　日の丸を印したユニホームに着替えて始まる代表シーズンが、キャリアに新たなページを加えた背番号14をすぐそこで待っている。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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