専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
競馬

【名馬列伝】「スピードの絶対値が他の馬と違う」小島太が舌を巻いた国内初の“スプリント王者”サクラバクシンオー。日本競馬屈指といえる快足馬の軌跡

THE DIGEST編集部

2025.03.02

 のちに小島太にインタビューした際、サクラバクシンオーについてこう語った。

「バクシンオーはスピードの絶対値が他の馬とは違っていた。1200mでも、2000mでユタカオーに乗るように、じっくり(脚を)ためていけば能力の違いで勝てるんだ」

 そして、「バクシンオーのスピードは間違いなくユタカオーから受け継いだものだ」と言葉を継いだ。

 数々のオファーを受けた末、サクラバクシンオーはサンデーサイレンスやトニービンが繋養されえていた社台スタリオンステーションで種牡馬入り。現役時代に見せた圧倒的なスピード能力で内国産馬としては異例の人気を博して初年度から100頭を超える繁殖牝馬を集め、最盛期の2002年には種付頭数が151頭にも達した。

 その中からはショウナンカンプ(高松宮記念)、グランプリボス(NHKマイルカップ、朝日杯フューチュリティステークス)、ビッグアーサー(高松宮記念)と平地でGⅠホース3頭を送り出し、平地重賞勝ち馬(統一グレードを含む)は前記の3頭を含めて数多く輩出した。
 
 サクラバクシンオーはGⅠを2勝しかできなかったが、当時は国内にスプリントGⅠがひとつしかなく、のちにロードカナロアが連覇することになる※香港スプリント(GⅠ、芝1200m)も創設される前だった(※1999年から2005年までは直線・芝1000mで施行)。彼がもし2000年代以後に現れていたら…と、今もつい夢想してしまう。

 それでも、サクラバクシンオーが日本で初めて「スプリント王者」の称号を得た馬だったという栄光は、今もって色あせることなく輝いている。

文●三好達彦

【名馬列伝】名門メジロ牧場の系譜を継ぐ“稀有な優駿“モーリス。日本で育まれた血の結晶が世界を制す

【名馬列伝】中央と地方の交流草創期に出現したホクトベガ。ドバイの地で“織女星”になった砂の最強女王

【名馬列伝】「天馬」と讃えられる優駿を輩出したトウショウ牧場。名門の落日前に異彩を放った“破天荒キャラ”スイープトウショウの生涯
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号