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海外サッカー

「そもそもこのカップ戦への出場自体が…」 カンファレンスリーグ制覇のチェルシーに厳しい指摘! 「勢いが生まれつつある」と今後への期待も

THE DIGEST編集部

2025.05.29

カンファレンスリーグを制したチェルシー、これを黄金期のスタートにできるか。(C)Getty Images

カンファレンスリーグを制したチェルシー、これを黄金期のスタートにできるか。(C)Getty Images

 欧州第3のカップ戦「UEFAカンファレンスリーグ」の決勝が現地時間5月28日にポーランド・ヴロツワフで行なわれ、チェルシーがベティスを4-1で下して初優勝を飾った。

【動画】チェルシーが後半に4発! カンファレンスリーグ決勝ハイライト

 先制したのはベティスで、開始9分に敵陣でのパスカットからイスコのラストパスを受けたアブデ・エザルズリがゴール右隅にシュートを突き刺し、その後も幾つか得点機を生み出す。しかし後半、反撃に転じたチェルシーは65分にコール・パーマーのクロスからエンソ・フェルナンデスのヘッド弾が炸裂すると、その5分後にもパーマーの個人技による右サイド突破からのクロスをニコラス・ジャクソンが胸で合わせて逆転した。

 83分にジェイドン・サンチョがリードを広げ、さらにアディショナルタイムにはモイセス・カイセドがトドメを刺して大勝を飾ったチェルシーは、2021-22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)以来となる欧州カップ制覇を果たし、カップウィナーズカップ(1999年廃止)、スーパーカップを含めたUEFAの主要コンペティション全てで優勝した初のクラブとなった。

 ヨーロッパリーグのトッテナムに続き、トロフィーをイングランドに持ち帰ることに成功したエンツォ・マレスカ監督は、鮮やかな後半の逆転劇に「ハーフタイムに戦術を調整して変更を加えた結果、後半はずっと良いプレーができた。非常に満足している」と語り、「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に選出されたパーマーは「ボールを受けても後ろや横にしか進めないのにうんざりしていたので、次にボールを受けたら仕掛けようと思っていた」と、2つのアシストに結びついたプレーを振り返っている(UEFA公式サイトより)。

 一方、クラブ史上初の欧州カップ決勝で国際タイトル獲得を狙ったベティスは、マヌエル・ペレグリーニ監督が「選手たちは打ちのめされている。前半に見せたプレーを維持できなかった」と敗戦を悔やみ、イスコは「あと少しのところまで行っただけに、余計に悔しい。スコアでの優位を活かせなかったことが、今季を通して我々を苦しめてきたし、欧州カップの決勝ではその代償があまりに大きい。我々はあまりにも引きすぎた。ファンにタイトルを贈れなかったのは本当に残念だ」と失望を隠さなかった(スペインのスポーツ紙『MARCA』より)。
 
 このように明暗を分けた両チームだが、10個目の国際タイトルを手にしたチェルシーも手放しで大喜びしているというわけではない。マレスカ監督は「これがスタート地点になることを願っている。勝者のメンタリティーを築くには、試合に勝ち、タイトルを取ることが必要だ。そして今夜手にしたこのトロフィーは、我々をより良くしてくれるはずである」と、今回の戴冠の意義を見出している。

 スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「トッド・ベーリー(オーナー)や『クリアレイク・キャピタル』が2022年5月にクラブを買収以降、10億ポンド(約1960億円)以上も費やしたのは、欧州第3のコンペティションを制するためではない。そもそもこのカップ戦に出場していたこと自体が、これまでの誤った運営の結果を示している」と厳しく指摘する。

 しかし続けて、「何事にも『始まり』は必要である。(中略)過去3年間で、クラブのあらゆるレベルで大規模な変化が起こった。多くのスタッフが入れ替わり、チームも高額な長期契約でほぼ完全に刷新された。その手法には多くの疑問が投げかけられてきたが、それに答える方法はただひとつ、タイトルを獲得することだ。そして昨季のカラバオカップ決勝ではリバプールに敗れたが、今回は勝った」と、ポジティブな見解も示した。

「『チェルシーは選手層が分厚いから勝って当然』との声もあるが、決勝はまさにそれを裏付ける形となった。チェルシーはボールを支配していたにもかかわらず、あまりにも遅く、受け身で、創造性にも欠けていた。しかしマレスカ監督の『コントロール』への拘りは、攻撃の最後の局面で違いを生み出せる『ゲームチェンジャー』に活躍の舞台を与えるための土台作りに基づいている。そして、今回はそれをパーマーが実行した。試合終了後、周囲で祝福の歓声が響く中、マレスカは23歳の彼に声をかけ、肩を抱きながら長く話をしていた」

 同メディアは、「チェルシーは今夏、クラブワールドカップに挑む。そして来季のCLも控えている。チームには、確かに“勢い”が生まれつつある」と締めているが、ロマン・アブラモビッチ体制でコンスタントにタイトルを獲得してきた黄金時代を再び迎えられるかどうか。それによって、カンファレンスリーグ優勝の価値の程は変わってくるようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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