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高校野球

【甲子園】「自分が打って何とかしようと思った」カウント3-0からのフルスウィングは無残にも...チームの中心・橋本とともに散った鳴門<SLUGGER>

氏原英明

2025.08.15

1回戦で本塁打を放ったエースの橋本。2回戦でもヒーローになるチャンスが訪れたが...(写真)THE DIGEST写真部

1回戦で本塁打を放ったエースの橋本。2回戦でもヒーローになるチャンスが訪れたが...(写真)THE DIGEST写真部

 その刹那、鳴門側のおそらくほぼ全員が頭を抱えたのではなかったか。

 沖縄尚学が1点をリードした8回裏の鳴門の攻撃。先頭の3番・谷泰成がレフトへの安打で出塁、1死後、5番の橋本朋來が打席に立った場面だ。1回戦の天理戦でも本塁打をマークしていた橋本。大きな期待を寄せた人は少なくなかったはずだ。

 岡田将和監督は言う。

「展開としては橋本が打ってくれないと困ると思っていました。次に回すというよりは、橋本で点を取る。長打が出てくれればと思って見ていました」

 カウントは3ボールになったあとの4球目だった。橋本がフルススィングした打球は鈍い音を発し、ファーストへのファウルフライとなったのだった。

「3ボールからなぜ」
「四球を狙えたのにもったいない」。

 そんな声も聞こえてきそうだったが、打者心理を探ると、ここに野球の面白さが詰まっていた。

 今春のセンバツにも出場していた沖縄尚学と鳴門の一戦は、下馬評では沖縄尚学の方に分があった。初戦で金足農を3安打完封していたエースの末吉良丞の存在感が際立ち、洗練されたディフェスンスの固いチームだった。春の経験もあり、今大会でも上位進出が予想されていた。
 それだけに、鳴門の岡田監督は、最初から勝機が少ないことを覚悟していた。

「勝つとしたら2-1、3-1。そんなイメージでした」

 先発にエースの橋本ではなく辻侑成を立てのも、少しでもエースの負担を軽減して僅差に持っていきたいという思惑があったからだった。2回に先制を許してしまい、3回から橋本が登板することになるのだが、それくらい張り詰めた試合展開を目指していたのだ。

「1回表に1死二、三塁のチャンスがあった場面で、クリーンアップが打ってくれていれば、いい形に持って行けたとは思いました。1対0も想定内の試合でした。8回はクリーンアップからだったんで、このイニングに点が入ったら試合展開としては大きいと思った」

 8回の沖縄尚学の攻撃を終えてスコアは0対1。ビハインドながらも、試合の主導権はどちらにあるとも言えない状況だった。

 沖縄尚学はこの日、先発にエースの末吉ではなく新垣有絃を抜擢していたが、5回を投げ切ったところでスイッチ。比嘉公也監督は「6回からは末吉にしようと決めていました」と試合を締めてかかる。だが、末吉の調子はそれほど良くはなかった。

 そんな展開の中で8回を迎えていたのだった。
 

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