プロ野球のドラフト会議は、未来ある若者の進路が決まる場である。それは指名があってもなくても同じだ。
2025年は支配下73人、育成43人の計116人が指名を受けた。その中で小田康一郎(青山学院大)は2度目の1巡目入札で名前を呼ばれた。交渉権を獲得したのは横浜DeNAベイスターズである。
ドラフトが始まる約1時間前、会見場の青山学院大・青山キャンパス内「14号館12階 大会議室」の前で小田とすれ違った。互いに短く挨拶をし合ったが、さすがに表情は固かった。
固かった表情が和らいだのは、1時間半後の17時25分ごろ。DeNAからコールがあった時だ。会見で小田はその理由を明かしている。
「個人的には、これで『(青山学院大から)3年連続ドラフト1位が複数人』というところで、今年は僕がやるのかなというのは正直ちょっと思っていた。呼ばれた瞬間、嬉しいのは一番なんですけど、そこへの安堵というか、ホッとした気持ちが大きかったかなと思います」
小田の言う通り、青山学院大は過去2年、ドラフト1位選手を複数人輩出してきた。2023年は常廣羽也斗(広島)と下村海翔(阪神)、2024年は西川史礁(ロッテ)と佐々木泰(広島)である。今年はエース・中西聖輝の1位指名が有力視されており、小田は外れ1位か2位での指名が大方の予想であった。実際に中西は中日が単独入札、小田は2度目の入札でDeNAが指名。チームの主将も務める小田が先輩から歴史を紡ぐ意味は大きかったのだろう。 東京・八王子出身で、横浜スタジアムでの観戦歴を持つ小田。DeNAについての印象は「ファンが熱い。上位に食い込んでいる印象」と語り、「筒香(嘉智)さんに経験や技術を聞きたい」と、さっそく弟子入りを希望している。
また、2位で島田舜也、3位で宮下朝陽と同じ東都のライバル・東洋大の選手が指名されたことについては「今まで敵として戦ってきて、今シーズンもその2人にだいぶ苦しめられた。2人ともすごくいい選手なので、一緒にベイスターズを勝たせられるように頑張りたいです」と語った。昨日の敵は今日の味方、ということだ。
1時間にわたる会見が終わり、フォトセッションに入る頃には、小田の表情がかなり緩んでいた。同席していた応援団のチアリーダーからは「かわいい!」と声援が上がり、胴上げも満面の笑みを浮かべながら宙に舞った。打席では真剣な目つきで職人肌の顔を見せるが、意外と素顔はよく笑う人なのかもしれない。
吉田正尚(レッドソックス)や近藤健介(ソフトバンク)のような「率も本塁打も残せる、さまざまな面で長けた打者」を目指す小田。ハマの風に乗せて快打を連発する姿、そしてプレー外で笑顔を見せるギャップで人気を博すのが今から楽しみだ。
文●加賀一輝
【著者プロフィール】
かが・いっき。1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。現在は執筆・編集を主に活動する一方、DAZN初のリアリティーショー『THE ANNOUNCER ~スポーツ実況者オーディション~』に参戦中。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。
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2025年は支配下73人、育成43人の計116人が指名を受けた。その中で小田康一郎(青山学院大)は2度目の1巡目入札で名前を呼ばれた。交渉権を獲得したのは横浜DeNAベイスターズである。
ドラフトが始まる約1時間前、会見場の青山学院大・青山キャンパス内「14号館12階 大会議室」の前で小田とすれ違った。互いに短く挨拶をし合ったが、さすがに表情は固かった。
固かった表情が和らいだのは、1時間半後の17時25分ごろ。DeNAからコールがあった時だ。会見で小田はその理由を明かしている。
「個人的には、これで『(青山学院大から)3年連続ドラフト1位が複数人』というところで、今年は僕がやるのかなというのは正直ちょっと思っていた。呼ばれた瞬間、嬉しいのは一番なんですけど、そこへの安堵というか、ホッとした気持ちが大きかったかなと思います」
小田の言う通り、青山学院大は過去2年、ドラフト1位選手を複数人輩出してきた。2023年は常廣羽也斗(広島)と下村海翔(阪神)、2024年は西川史礁(ロッテ)と佐々木泰(広島)である。今年はエース・中西聖輝の1位指名が有力視されており、小田は外れ1位か2位での指名が大方の予想であった。実際に中西は中日が単独入札、小田は2度目の入札でDeNAが指名。チームの主将も務める小田が先輩から歴史を紡ぐ意味は大きかったのだろう。 東京・八王子出身で、横浜スタジアムでの観戦歴を持つ小田。DeNAについての印象は「ファンが熱い。上位に食い込んでいる印象」と語り、「筒香(嘉智)さんに経験や技術を聞きたい」と、さっそく弟子入りを希望している。
また、2位で島田舜也、3位で宮下朝陽と同じ東都のライバル・東洋大の選手が指名されたことについては「今まで敵として戦ってきて、今シーズンもその2人にだいぶ苦しめられた。2人ともすごくいい選手なので、一緒にベイスターズを勝たせられるように頑張りたいです」と語った。昨日の敵は今日の味方、ということだ。
1時間にわたる会見が終わり、フォトセッションに入る頃には、小田の表情がかなり緩んでいた。同席していた応援団のチアリーダーからは「かわいい!」と声援が上がり、胴上げも満面の笑みを浮かべながら宙に舞った。打席では真剣な目つきで職人肌の顔を見せるが、意外と素顔はよく笑う人なのかもしれない。
吉田正尚(レッドソックス)や近藤健介(ソフトバンク)のような「率も本塁打も残せる、さまざまな面で長けた打者」を目指す小田。ハマの風に乗せて快打を連発する姿、そしてプレー外で笑顔を見せるギャップで人気を博すのが今から楽しみだ。
文●加賀一輝
【著者プロフィール】
かが・いっき。1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。現在は執筆・編集を主に活動する一方、DAZN初のリアリティーショー『THE ANNOUNCER ~スポーツ実況者オーディション~』に参戦中。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。
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