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プロ野球

【ブレイクスルーの舞台裏】西武投手陣が「成功への根拠」を知った菊池雄星との濃密な3週間

氏原英明

2019.12.23

石垣島キャンプで感覚を掴んだ高橋光は、ローテーションを守って自身初の二桁勝利を挙げた。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

石垣島キャンプで感覚を掴んだ高橋光は、ローテーションを守って自身初の二桁勝利を挙げた。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

『石垣組』

 今季、パ・リーグ連覇を果たした西武ライオンズの投手陣にそう呼ばれたメンバーがいる。5年目の高卒右腕・高橋光成、大卒ながら同期のサウスポー佐野泰雄、プロ入り2年目のシーズンを終えた平良海馬だ。

 彼ら3人は、今年1月、シアトル・マリナーズに移籍が決まったばかりの菊池雄星と3週間に及ぶ沖縄・石垣島でのトレーニングキャンプに参加。菊池がメジャー移籍の置き土産として、自身がこれまで培ってきたトレーニング方法や考え方などを伝え、成功をつかむきっかけにして欲しいと声を掛けた3人だった。

「佐野は自主トレをずっとやってきたメンバーの一人でもあるんですけど、光成は入団してから苦しんでいて、昔の自分を見るようだった。今年が勝負の年だというのがあって声をかけたんです。海馬も参加したいと言ってきました」

 1月というと、世間では合同自主トレと銘打って、たくさんの選手たちがシーズンに合わせた調整を行っているが、この時、石垣島でのキャンプは、「調整」というより「強化」という言葉が相応しい過酷なものだった。

 その3人が、今季、シーズンを通してほぼ1軍に帯同した。特に、高橋光は充実のシーズンを過ごした。9月7日に右肘痛で離脱するまで、ローテーションを守り、自身初の二桁勝利。また、夏場からブルペンに加わった平良はシーズン終盤に勝利の方程式に組み込まれ、プロ初勝利、初ホールド、初セーブを挙げている。
 
 過酷だった1月のトレーニングのコンセプトになっていたのが「地面を押す力を利用する」というものだ。これは西武時代の菊池も取り組んでいたものだが、パーソナルトトレーナーの清水忍氏の理念に通じる。

「人間の体は、何もしなければ、慣性の法則が働いてその場にいるわけですが、前に進もうとするには力を入れなければいけない。『走る』とは、つまり、地面を押す力なのです。これは腕立て伏せに置き換えても同じ。腕立て伏せができない人は、その理屈が分かっていないんです。腹筋を意識して、地面を押すイメージでやってみてごらんと伝えると、みんなができるようになります」

 ウェイトトレーニングもこの原理だ。
 重量を上げる際のテーマは、いかに地面の力を体で受け止められるか。まず、地面を押しながら持ち上げることを覚えていき、そのレベルが上がっていくうち、体の使い方とともに、パフォーマンスのレベルが上がっていくというわけだ。
 
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