現在、バスケットボール界で注目を集めている話題のひとつが、“史上最高のデュオ”の呼び声高いマイケル・ジョーダンとスコッティ・ピッペンの確執だ。ピッペンがかつての相棒を「ひどい選手」呼ばわりしたことで波紋を呼んだなか、殿堂入り選手のジェリー・ウエストは今の事態が解せないと語っている。

　ジョーダンとピッペンは、シカゴ・ブルズが1991～93年、96～98年に２度の３連覇を成し遂げた際の中心選手。現役時代は阿吽の呼吸を見せたが、2020年に公開されたブルズの1997－98シーズンの舞台裏を追ったドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』で、ジョーダンが必要以上に好意的に描かれていたことにピッペンが異議を唱えたことで事態は一変した。

　21年に発売されたピッペンの自伝『Unguarded』では、「『ザ・ラストダンス』はマイケル・ジョーダンを称賛し、私と私の誇り高きチームメイトたちを十分に評価していない」と“格差”に不満を覗かせた記述があった。

　そして今年に入り、ピッペンがブルズ時代の同僚ステイシー・キングがホストを務める番組『Gimme The Hot Sauce』に出演した際、「彼はひどい選手で、一緒にプレーするのが恐ろしかった。すべて１対１で、ショットセレクションも悪かった」と、ジョーダンが“ワンマンプレーヤー”だったと再びトゲのある発言をしたのだ。
  　リーグの初代ファイナルMVPで、NBAロゴのモデルとしても知られるウエストは、ピッペンがジョーダンに矛先を向けたことに「失望した」という。ロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージがホストを務めるポッドキャスト『Podcast P with Paul George』で、ジョーダンにお互いの問題を解決するように促した。

「スコッティは、特別なチーム・仲間とたくさんの試合に勝ち、優勝を成し得たことに感謝すべきだ。彼は特別な選手と一緒にあそこにいたんだ。スコッティのことはあまり知らないんだが、彼は私に対してはいつも好漢だった。スコッティはいい選手だし、彼を選手として非常にリスペクトしている。消えていく者もいる厳しいNBAの世界で、年々成長していった。どんなことが起こっても、1990年代のブルズのようなチームの選手たちは、世界でも最も特別な関係だと思っている」

　ジョージが「あのチームは特別で、そこには絆がある。それだけにすごく残念だ」と語ると、ウエストは「誰かが電話を受け取らなかったのかもしれないね（笑）」とジョークを交えて返した。

「ただ、私は２人の確執が理解できないんだ」

　英雄ウエストも思わず困惑してしまう、ジョーダンとピッペンの確執。史上最高のデュオの関係は、どのような方向に向かうのだろうか。

構成●ダンクシュート編集部