専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

韓国球界のエースとして君臨し続けたキム・グァンヒョン。5年越しのメジャー行きの夢は今度こそ叶うか?

室井昌也

2019.11.27

躍動感にあふれたピッチングが特徴のキム・グァンヒョン。今季メジャーで防御率のタイトルを手にしたリュ・ヒョンジンに続きたい。(C)Getty Images

躍動感にあふれたピッチングが特徴のキム・グァンヒョン。今季メジャーで防御率のタイトルを手にしたリュ・ヒョンジンに続きたい。(C)Getty Images

「金メダルしかいらない」

 今から11年前、星野仙一監督がそう豪語して挑んだ北京オリンピックで、野球日本代表は銅メダルすら手にすることなく4位で大会を終えた。

 その日本の前に立ちはだかったのが予選、準決勝と日本戦に先発登板し、2試合でわずか3失点と好投した弱冠20歳の左腕投手、韓国のキム・グァンヒョンだ。

 31歳になった今オフ、キム・グァンヒョンはメジャーリーグ進出を表明した。今月22日、所属するSKワイバーンズもポスティングシステムを利用しての移籍を容認。さらなる高いステージを目指そうとしている。

 北京五輪以降も韓国球界を代表するエースとして君臨し続けたキム・グァンヒョン。しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかった。五輪翌年の09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも日本戦に先発したが、初回にイチロー、中島裕之、青木宣親に3連打を許し、2回には4番の村田修一に3ランを喫するなど1.1回を投げて8失点。徹底的な分析によって攻略される悔しい経験をした。
 一方で、その年のKBOリーグでは防御率2.80でタイトルを獲得。翌10年には17勝を挙げ最多勝投手となり、入団以来3度目の優勝に大きく貢献した。当時は複数の日本球団のスカウトから「彼がFA権を取得するのはいつだ?」という声をよく耳にするほど目覚ましい活躍を見せていたキム・グァンヒョン。彼自身も当時のチームの先輩でWエースとして並び立った門倉健(現中日投手コーチ)、また投手コーチの加藤初の影響もあって、日本でのプレーに興味を持った時期もあった。

 だが、彼に不運が訪れる。優勝直後に脳梗塞による顔面麻痺を発症。左肩痛も併発し、11、12年は本来の姿を見せることはできなかった。しかし、キム・グァンヒョンは再起を果たす。13年には3年ぶりの2ケタ勝利を果たし、プロ8年目の14年は13勝。1つ年上のリュ・ヒョンジン(ドジャース)の活躍でメジャーリーグでの韓国人選手の評価が高まる中、同年オフにポスティングによるメジャー行きを目指した。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号