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高校野球

球数制限は何のためにあるのか。「中1日で奥川」を求めるメディアも含めて再考すべき

氏原英明

2019.09.06

大会初登板で圧巻の投球を見せた奥川だが、状態に不安がある中で103球も投げさせる必要が果たしてあったのか。(C)GETTY IMAGES

大会初登板で圧巻の投球を見せた奥川だが、状態に不安がある中で103球も投げさせる必要が果たしてあったのか。(C)GETTY IMAGES

 球数制限が世界中でルール化されているのはなぜなのか。U-18日本代表の首脳陣は、今一度考えるべきだろう。
 
 第29回U-18ベースボールワールドカップ(以下W杯)に出場中のU-18日本代表が2次リーグ(スーパーラウンド)初戦のカナダ戦を5−1で勝利し、最高の形で滑り出した。
 
 今大会初登板となった先発の奥川恭伸(星稜高)が7回を投げて2安打1失点、18奪三振と圧巻のピッチングを披露するなど、選手たちの戦いぶりは見事というほかなかった。だが、果たして、このまま大会を勝ち進んでいいのだろうかと不安も覚えた。
 
 誤解がないように書いておくが、日本代表選手たちのパフォーマンスは間違いなく素晴らしかった。

 
 特に、ブランクを感じさせなかった奥川のピッチングは見事の一言に尽きる。1本塁打を浴びたものの、ほとんどカナダ打線にまともなスウィングをさせない支配的なピッチングだった。
 
 打線も、1番の森敬斗(桐蔭学園高)が4度の出塁でチャンスメーク。チーム全体で11個の四球を選ぶなど、ヒット数は少なかったものの、相手投手をうまく攻略した。

 
 問題は、奥川の投球数が103球に達したことだ。大会のレギュレーションでは、1日の球数が105に達すると、中4日を空けないといけないことになっている。その点では、奥川が7回終了時点で103球にとどめたのは幸いとも言えるが、これだけのメンバーを揃えながらこの投手マネジメントには疑問符を付けざるを得ない。
 
 周知のように、奥川はこの夏の甲子園で準優勝を果たした。1、3回戦と準決勝、決勝戦に先発。中でも3回戦で165球を投げた疲労が祟り、決勝戦ではパフォーマンスを著しく落としていた。今大会も疲労の影響も考慮してここまで登板を控えていたわけだが、その彼に初登板で100以上も投げさせたのだ。
 
 U-18日本代表は高校生のトップが集まるチームであり、特に投手陣には厚みがある。あるスカウトは「圧倒的な投手陣」と評価しているほどだ。それにもかかわらず、一人の投手に負荷をかけてしまうのだから、果たして代表チームは誰のために存在しているのだろうかと言いたくなる。

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