高校野球

U-18日本、ミスが相次ぎ痛恨の連敗でスーパーラウンドで散る。坂下主将は「日本らしくできなかった」

氏原英明

2019.09.07

連日の守備の綻びで決勝ラウンド進出を逃した日本。メンバー構成が敗退の要因になった。(C)Getty Images

 すべての膿が最後に出た。 

 第29回U-18ベースボールワールドカップ(以下W杯)の2次リーグ(スーパーラウンド)最終戦が行われ、日本代表はオーストラリアに1−4で敗れて、決勝ラウンド進出はならなかった。

 前日、韓国に敗北を喫して後がなくなった日本は、1次リーグの2戦目以来となる浅田将汰(有明高)を先発に立てた。しかし、浅田は1回こそ3三振で乗り切るも、本調子とはいかず、2回表に3連打で失点すると、さらに四球と安打で勝ち越されて降板。2番手の前佑囲斗(津田学園高)は強気に攻めたが、守備の綻びもあってさらに2点を献上。相手に主導権を握られた。

 前日に続くミスの連発で試合の流れがつかめなかったことは否定できない。とはいえ、それはメンバー構成上、仕方がない部分もあった。今回のメンバーは遊撃手が多く選ばれ、主に一塁を守った韮沢雄也(花咲徳栄高)など、本職ではないポジションに入った選手が少なくなかったからだ。

 前日の韓国戦では、三塁手の石川昂弥(東邦高)による一塁への悪送球で同点に追いつかれた。だが、石川の意識は低い球を投げるという基本に忠実なもので、一塁手が韮沢だったために止めることが難しかった部分もあった。つまり、選手の力量というより、チームの構成が招いたミスと言ってもいい。
 一方、日本のストロングポイントである投手陣も、この日は本来の形を作れなかった。

 佐々木朗希(大船渡高)は指先の怪我に苦しみ、獅子奮迅の活躍を見せてきた西純矢(創志学園高)、宮城大弥(興南高)の2人が球数制限ルールで登板不可だった。浅田や前は奮闘したが、これまでの試合で、いつ出番があるか分からない状況で出番を待ち続けた彼らにとっては目に見えない負担もあったはずだ。

 守備に綻びが出たのも、そうした投手陣を何とか助けたいと思う気持ちが悪い方向に向いた結果とも言えなくもない。

 打線の方は、相手投手に立ち向かっていく姿勢は見せたものの、最後まで流れを変えることができなかった。右投げ左打ちの巧打者タイプを並べた打線は、相手バッテリーに攻めやすさを生んでいた部分もあっただろう。西や2年生の横山陽樹(作新学院高)ら右打者の打棒には光るものを感じたが、打線全体がうまくつながらなかった。

「ミスもあって、攻撃の方も何もできなくて悪いところが全部出ました。日本らしくできない部分がすごくありました」。

 試合後、主将の坂下翔馬(智弁学園高)は涙ながらに語った。守備のリズムが悪く、流れを呼び込めずに苦杯を舐めた。負けるべくして負けたスーパーラウンドでの敗退だった。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。