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高校野球

失意のW杯で浮き彫りになった高校野球界の課題。日本代表の投手起用は"世界基準"から外れていた

氏原英明

2019.09.09

佐々木、奥川の状態不良という誤算があったとはいえ、永田監督の投手起用は疑問の残るものも少なくなかった。(C)GETTY IMAGES

佐々木、奥川の状態不良という誤算があったとはいえ、永田監督の投手起用は疑問の残るものも少なくなかった。(C)GETTY IMAGES

 第29回U-18ベースボールワールドカップ(以下W杯)で5位に終わった日本代表の報道を見ながら、ずっと違和感があった。

 その違和感とは、指揮官の永田裕治監督が先発投手の通達を伝えた際のある言葉だ。

「先発は今日伝えました」

 永田監督は先発投手への通達を試合当日ないし前日に伝えたと答えていたことが多かった。

 甲子園取材の名残があるのではないかと思った。


 甲子園の取材では、試合前に監督を囲む時間がある。その際、複数の投手を擁するチームには先発は誰か、その旨をいつ伝えたかなど尋ねると、「今朝、伝えました」という言葉を指導者の口から聞くことがよくある。甲子園では負けたら終わりの一発勝負のトーナメント制だから、その手法は理解できる。

 永田監督はその考え方をリーグ戦にも持ち込んでいるように思えた。

 今大会のように試合日程がかっちりと決まっていても、先発を本人に伝えるのが目前になってしまう。ここに今の高校野球界が抱える一つの問題が表れている。
 周知のように、今大会は球数制限がルール化されている。

 WBCに比べればかなり緩い制限ではあるものの、ジュニア世代に無理をさせないようにと考えられたルールと言えるだろう。

 しかし、各国の起用法と日本チームのマネージメントを見ていると、大きな隔たりを感じる。特に4位までに入った台湾、アメリカ、韓国、オーストラリアとの差は顕著だ。

 日本とは対照的に、各国は大会前からすでに登板スケジュールが決まっているかのようなものばかりだったのである。

 例を挙げると、
アメリカの第1戦で先発したハリソンが4日後のパナマ戦で再び先発。また、オープニングラウンドの2戦目の台湾戦に登板したラジュシックも、2回目の先発は4日後のオーストラリア戦だった。日本戦で先発して2回6失点で降板したヘルナンデスも、結果に左右されることなく、4日後には先発している。

 オーストラリアも1戦目の先発シェリフは中4日明けて再登板した。韓国は中4日を保ちつつ、対戦相手に合わせて微調整していた。これに対して日本は、2試合以上先発したのは
浅田将汰(有明高)だけだった。
 
 おそらく、各国は軸になる投手を誰にするのか、各投手の登板スケジュールをどうするか、最初からプライオリティが整理されていたのだろう。

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