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高校野球

祖父の代から野球一家!ドラフト候補左腕・髙田琢登が挑む「最後の夏」のライバル対決

大友良行

2020.07.13

靜商の髙田は、ひと冬越して変化球の精度が一段と増していた。写真:大友良行

靜商の髙田は、ひと冬越して変化球の精度が一段と増していた。写真:大友良行

 各県には、それぞれ伝統の定期戦がある。例えば、静岡県では浜松商vs浜松工、浜松西vs浜松北、沼津東vs沼津商、日大三島vs三島南、そして静岡商vs静岡などだ。

 なかでも注目される静岡商vs静岡は、今回で62回目を迎える。毎年5月に行なわれていたが、今年は新型コロナウィルス感染拡大の防止で学校が休校期間中。そのため両校が話し合って定期戦の中止を決めた。

 ただ、今年はセンバツ甲子園も夏の甲子園大会も中止になり、3年生は「最後の夏」の目標を失った。そのうえ定期戦もないのは、あまりにかわいそうだ。そんな球児たちのために、別の形で戦いの場が用意されたのである。

 新型コロナの勢いも落ち着いた7月5日、両雄が草薙球場に集った。この練習試合は、プロ注目の静商の左腕・髙田琢登投手(左投左打、177センチ、77キロ)と静高の走攻守三拍子揃った相羽寛太遊撃手(右投右打、176センチ、79キロ)が対決する貴重な機会で、11球団17人のスカウトがネット裏に駆け付けた。
 
 靜商・髙田のこの日のピッチングは完璧に近かった。

 7回を投げて、1安打、7奪三振、3四球。5回には好打者・神谷侑征から、憶えたてのスプリットで奪った三振を含めて、三者連続三振で存在感をアピール。しなやかなフォームからストレート、カーブ、スライダー、スプリットなど持ち球をすべて披露した。昨秋は、変化球がイマイチだったが、ひと冬越して、その精度は一段と増していた。

「基本は真っ直ぐ7割、得意のスライダーとチェンジアップを決め球として使いました。特にスラッターというスライダーとカットの中間的な球種も試してみました。ストレートだと思っていると、手元で斜めに曲がります。これでスライダーとの投げ分けが出来れば、もっとピッチングに幅ができてくると思います。

 静高は、体もでかいし、多少ビビリましたが、楽しく投げられました。県大会で当たっても、先に抑えておけば相手もビビるでしょう。これで県トップレベルのチームを完璧に抑えたことになるので、次もこういうピッチングをしたいです。

 点数的には、70点です。四球を3個与えたので、その分、減点です。降板してから逆転され負けてしまいましたが、3年生全員でベンチに入れたし、笑顔で楽しくできました。ありがとうございました」

 そう語る髙田を指導しているのが、父親の髙田晋松監督(50才)だ。静高から筑波大に進み、卒業後は教職について三ケ日(閉校)、富士宮東、伊東、静岡南(現・駿河総合と合併)、焼津水産などの公立校を転任。靜商に来て5年目を迎える。
 

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