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高校野球

県大会で得た手応えと課題。プロ注目の明石商・中森俊介と来田涼斗が“最後の甲子園”へ

藤原彬

2020.08.09

来田(左)と中森(右)、プロ注目の2人が甲子園での最後の一戦に臨む。写真:藤原彬

来田(左)と中森(右)、プロ注目の2人が甲子園での最後の一戦に臨む。写真:藤原彬

 口を真一文字に結んで表情を緩めないエースがマウンドに立ち、パワフルなスウィングが魅力のリードオフマンが屈託のない笑顔でベンチを盛り上げる。グラウンドでは対照的に映る3年生の中森俊介と来田涼斗は、明石商を投打で引っ張ってきた。

 ともに1年夏に甲子園デビューを果たすと、2年時は春夏連続でベスト4入り。中森は聖地で通算5勝、来田は3本塁打。知名度はすでに全国区だ。先日まで行われていた夏季兵庫県大会では、相手側の応援席に座る保護者も2人を撮ろうとスマホをかざす様子が多く見られた。

 この県大会から8月10日開幕の甲子園交流試合(センバツ代替大会)までの全勝を目標に掲げていた明石商は、初めの3試合をコールド勝ちと強さを発揮しながら中森と来田がスタメンから外れた最終4戦目に延長11回で敗退。チームとしては悔しさを味わったが、ドラフト上位候補でもある2人のプレーはネット裏に集まった各球団のスカウトをうならせた。
 中森にとっては多くを経験できた大会となった。初戦は開始時間を約30分遅らせた雨の影響でボールが先行する場面も多かったが、2戦目は制球中心の投球を心掛けて3ボールのカウントを作らなかった。

 梅雨が明けて夏本番で迎えた3戦目当日は、夏バテで家を出る際に吐き気をおぼえながら「今日は暑くなるのが予想されていたので、序盤は6、7割の力」で三塁を踏ませず、7回を0封。降板するまで打線の援護は初回の1点のみだったが、「接戦の方が緊張感もあって投げやすかった。いつも以上に力が出る」と言ってのけた。

 落とし穴は、大会全勝をかけた神戸第一との最後の4戦目だった。タイブレークに突入した延長10回から救援した中森は昨夏の甲子園以来となる球速150キロを叩き出し、直後の攻撃で味方が1点を勝ち越し。逃げ切りを図る11回も最初の四番打者を三振に仕留めたが、次の打者に初球をレフト前に運ばれた。

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