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【担当記者が見た大谷翔平】「二刀流が普通だと思ってやってきた…」メジャー3年目に訪れた厳しい試練

斎藤庸裕

2020.08.26

再び打者に専念することになった大谷だが、打率1割台と苦しんでいる。(C)Getty Images

再び打者に専念することになった大谷だが、打率1割台と苦しんでいる。(C)Getty Images

 大谷翔平(エンジェルス)が、思うように波に乗れていない。8月23日のアスレティックス戦で自己ワーストの21打席連続ノーヒットを抜け出す5号3ランを放った。4打数2安打の結果だったが、この試合の終了時点で打率は.181。試合後、好調が続かない状況について「良くなったり悪くなったり。良くなった中でもヒットが出なかったり、難しさがあるかなと思います」と話した。

 異例の60試合シーズンで、約2年ぶりの二刀流復活を期して臨んだ。キャンプ再開後の7月上旬、投打でチームへ貢献していくことについて次のように心境を語っていた。

「これ(二刀流)が普通だと思ってやってきたので。逆にフルで出来ない、チームに貢献できないというところで言うと、もどかしさがあった。しっかり100の状態で貢献したいなと思ってますし、60試合なので最初から最後までしっかり飛ばしていきたい」

 だが、現実は厳しかった。トミー・ジョン手術明けの登板では2試合続けて結果を出せず、右ヒジの故障もあって、昨年と同じように打者として残りシーズンを戦うことになった。打者専念は、大谷にとっては普通ではない。キャンプ再開後の言葉を踏まえると、もどかしさも当然あるだろう。
 
 投打で生まれるリズムにも、違和感はあるだろう。二刀流のスケジュールは、基本的に登板日の前後は欠場という流れだった。「気持ちの切り替えというか、それは必要なので。(登板内容が)良かった時はいいですけど、特に悪かった時は、それを打席にもっていくわけにはいかない。逆もまた然りなので、そういう意味では空いた時間というのも大事」。メンタル面で切り替えができる。それが二刀流の利点でもあった。

 ただ、現状はそうはいかない。状態が悪くても、ほぼ毎日の打者出場の中で活路を見いだしていかなくてはいけない。チームも、60試合の半分を消化した時点で9勝21敗と厳しい戦いを強いられている。打線の中軸として期待される大谷は一刻も早く復調し、好調を継続していく必要がある。

「打たないと申し訳ないという、そういう気持ちは気持ちは1年目、2年目よりは強いと思います」

 故障で今季の登板がなくなり、打席でも苦しい状態が続く。メジャー3年目、厳しい試練が訪れている。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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