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プロ野球

「今年は技術」で宣言通りの大活躍――ロッテの新1番・藤原恭大を支える負けん気の強さと確信

氏原英明

2020.10.20

たとえ主力が戻ってきてもレギュラーは渡さない。藤原の奮闘にはそんな負けん気の強さが感じられる。写真:産経新聞社

たとえ主力が戻ってきてもレギュラーは渡さない。藤原の奮闘にはそんな負けん気の強さが感じられる。写真:産経新聞社

 レギュラーを返上するつもりはない。

 ロッテの2年目の外野手、藤原恭大は初めてのお立ち台の上で、そう言いたげな表情を見せた。力強い言葉からは決意がにじみ出ていた。

「優勝争いをしているので、1番バッターとして塁に出ること、そして、チームに貢献できることを目指してやっていきます」

 主力選手の新型コロナウイルス感染による緊急の一軍昇格だったが、それでも藤原はしっかり戦力になっている。6日の1軍昇格から34打数10安打(打率.294)、2本塁打という成績もさることながら、何より首脳陣たちを驚かせたのは、プロ初本塁打から2戦連続して先頭打者本塁打を放ったことだろう。これはプロ野球史上3人目の快挙だった。

 本人が狙ったかどうかはともかく、これだけのインパクトを残したのだから、隔離期間が終わって主力が帰ってくればレギュラー剥奪、というわけにはいかなくなったはずだ。何より、こうした評価を獲得したいとこれまでも気合いを入れてきた。藤原とはそういう男である。

 大阪桐蔭高時代は、同級生のライバル根尾昂(現・中日)と鎬を削った。根尾が明晰な頭脳を武器に階段を上がっていくのなら、自分は体をいじめまくるのだと、とにかくバットを振った。根尾が体のケアに専念する時ほど、藤原がスウィングする時間は長くなった。「今日は根尾よりバットを振った、という事実に快感を覚えるタイプ」とは、高校の恩師・西谷浩一監督が藤原を評した言葉である。

 プロ1年目の昨季は、開幕スタメンを勝ち取るも結果を残すことはできなかった。「そんな甘くないと思っていた」という本人の予測通り、多くの時間をファームで過ごした。1年目はさまざまな練習をこなす研鑽の日々を過ごしながら、プロの水に慣れていった。
 
「今年は技術ですね。そこを意識してやりたい」

 今季初頭、自主トレを公開した後のインタビューで、藤原は力強く宣言した。大言壮語ではない。プロで一年を過ごした藤原には、成功への道筋がきっちり見えていたのだ。

 野性的で負けず嫌いの性格も手伝って、練習量には事欠かない藤原だが、決して体を動かせばいいと思ってやってきたわけではない。それは高校時代から藤原自身の中に根付いている習慣みたいなもので、「練習は根拠を持ってやりたい」と言い切るほどだ。つまり藤原は1年目が終わった時点で、自分に必要なものと、そうでないものをすでに整理できていた。

 藤原は言う。

「人間にはそれぞれの骨格があって、練習メニューも合うものもあれば、そうではないのもあります。昨季はやってみろって言われたものはやってきたんですけど、必要ないなと思ったメニューに関しては、自分から言って省いてもらおうと思っています。意味のない練習はしないようにしたいなと考えています。合わなかったのもあるんで、それはやらんでいいかな」
 

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