2015年の入団以来、守護神として活躍し続けていた山﨑康晃。昨年はまさかの大不調でその座を三嶋一輝に譲って中継ぎに降格し、二軍落ちも経験した。さらに、今年のキャンプでも三浦大輔新監督が二軍スタートを決断したように、「終わった」感もあった。
しかし、オープン戦終盤に一軍に合流すると、3月23日の開幕前最後の実戦で三者三振でアピールに成功。その際に有効だったのが新球「今までよりも(握りの)浅いツーシーム」だった。
昨年は中継ぎで多少カットボールも投じていたが、プロ入り以来ほとんどストレートと鋭く縦に落ちるツーシームの“2ピッチ”で勝負していた。だが「自分の優位なカウントで投球をすすめるため」にとファームで取り組み、新たな武器を手に入れて開幕のマウンドへ向かった。
三浦監督から「7回の男」としての新しい役割を得た山﨑の出番は、開幕1戦目に巡ってきた。7回表に味方が2点を取り、1点差に迫った大事な場面で登場。しかも巨人は1番、“因縁”の梶谷隆幸から始まるタフなシチュエーションだった。そこで山﨑は、新球も織り交ぜて梶谷から三振を奪い、後続にヒットを許したものの、坂本勇人を新球を見せながら力のあるストレートでショートゴロ併殺打に切って取った。
3戦目は1点リードのなか、2番から始まる相手好打順の7回に登場。2死から岡本和真に単打は許したが、坂本は見逃し、丸佳浩は空振りで三振を奪うなどの内容で無失点に抑えた。ストレートは走り、1球投げたカットボールは145キロをマーク。新球のツーシームは140キロ前半から中盤と高速で、右バッターの内角から落とすなど、“ニューヤスアキ”を印象づけるには十分なピッチングだった。
ファームで過ごした時期は「初めての経験。精神的にもこの状況を乗り越えて成長させてもらった。本隊の一軍と離れて、いろんな景色で野球させてもらった」とマインドを整えた。テクニカル面でも「チェンジアップやツーシームなど、まだいろんなことに挑戦している」と進化を止めない覚悟を見せた。
シャープになった顔つきから、打者を鋭い視線で睨み、気合とともに投げ込む。雄叫びとボールの行き先を指差すアクションは今までと同じだが、苦難を乗り越えた“小さな大魔神”の投球は、魂の重みが違って見える。
山﨑康晃、石田健大、三嶋一輝と繋ぐ“勝利のYKKリレー”の一員として、再び歓喜の『Zombie Nation』を何回もハマスタに轟かせてくれそうだ。
取材・文・写真●萩原孝弘
しかし、オープン戦終盤に一軍に合流すると、3月23日の開幕前最後の実戦で三者三振でアピールに成功。その際に有効だったのが新球「今までよりも(握りの)浅いツーシーム」だった。
昨年は中継ぎで多少カットボールも投じていたが、プロ入り以来ほとんどストレートと鋭く縦に落ちるツーシームの“2ピッチ”で勝負していた。だが「自分の優位なカウントで投球をすすめるため」にとファームで取り組み、新たな武器を手に入れて開幕のマウンドへ向かった。
三浦監督から「7回の男」としての新しい役割を得た山﨑の出番は、開幕1戦目に巡ってきた。7回表に味方が2点を取り、1点差に迫った大事な場面で登場。しかも巨人は1番、“因縁”の梶谷隆幸から始まるタフなシチュエーションだった。そこで山﨑は、新球も織り交ぜて梶谷から三振を奪い、後続にヒットを許したものの、坂本勇人を新球を見せながら力のあるストレートでショートゴロ併殺打に切って取った。
3戦目は1点リードのなか、2番から始まる相手好打順の7回に登場。2死から岡本和真に単打は許したが、坂本は見逃し、丸佳浩は空振りで三振を奪うなどの内容で無失点に抑えた。ストレートは走り、1球投げたカットボールは145キロをマーク。新球のツーシームは140キロ前半から中盤と高速で、右バッターの内角から落とすなど、“ニューヤスアキ”を印象づけるには十分なピッチングだった。
ファームで過ごした時期は「初めての経験。精神的にもこの状況を乗り越えて成長させてもらった。本隊の一軍と離れて、いろんな景色で野球させてもらった」とマインドを整えた。テクニカル面でも「チェンジアップやツーシームなど、まだいろんなことに挑戦している」と進化を止めない覚悟を見せた。
シャープになった顔つきから、打者を鋭い視線で睨み、気合とともに投げ込む。雄叫びとボールの行き先を指差すアクションは今までと同じだが、苦難を乗り越えた“小さな大魔神”の投球は、魂の重みが違って見える。
山﨑康晃、石田健大、三嶋一輝と繋ぐ“勝利のYKKリレー”の一員として、再び歓喜の『Zombie Nation』を何回もハマスタに轟かせてくれそうだ。
取材・文・写真●萩原孝弘