プロ野球

【松田宣浩インタビュー:後編】「ムネさん、ホンマ見る目あったっすね(笑)」寡黙だった青年が“熱男”になるまで〈SLUGGER〉

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2021.03.31

川崎(中央)から直々に新たなムードメーカーとして指名されたことで、選手としても成長したと松田(右)は語る。写真:産経新聞社

 日本一4連覇を達成し、今季も優勝候補の筆頭に挙げられている福岡ソフトバンクホークス。絶対王者のチームリーダーとして、内外から絶大な信頼を集めているのが"熱男"でおなじみの松田宣浩だ。プロ16年目を迎えた今も、誰よりも大きな声を出して味方を鼓舞し、ファンを盛り上げる。独占インタビュー後編はホークスの強さの秘密、師と仰ぐ川崎宗則からの影響について語ってくれた。

――昨年は4年連続の日本一を達成しました。ホークスの強さの要因をいろんな人がいろんな角度から分析していますが、ご自身としては何が一番大きな要因だと思いますか?

 やっぱり「一人ひとりの意識の高さ」だと思います。あとは、今のプロ野球って案外、投手と野手との連携意識というのがなかなかできないんですが、チームの意思疎通を高い意識を持ってやっているので、それがいい方向につながっていると思います。

――その意識の高さは、松田選手が入団された時に監督だった王(貞治現会長)さん、その後の秋山(幸二)さん、工藤(公康)さんと、強さを知っている人たちから受け継がれたものなのでしょうか?

 そうですね。やっぱり今の世代の選手が4連覇したからといって、僕らだけが頑張った功績でもありませんし。王会長、秋山さん、工藤さんと監督が代わっていく中で、すごくいい先輩に恵まれたということだと思います。
 
――松田さんはムードメーカー、お祭り男として知られています。ただ、著書では「本来は寡黙でシャイな性格だったが、川崎(宗則)さんに(ムードメーカー)として指名された」と書かれていました。実際に川崎さんからどんなことを言われたのですか?

 日本一になった2011年に、僕も初めてフルイニング出場してホームランも25本打って、ようやくレギュラーとして活躍できたシーズンだったんですが、そのオフにムネさんがメジャーに行くことになって、「オレはもうメジャーに行くから、とにかくマッチが明るく元気にチームを引っ張ってくれ」と言われたんですよ。そこからです。

――川崎さんはなぜ、松田さんに託したのでしょうか?

 それは全然分かんないっすね(笑)。それまでは寡黙で、本当に自分の成績を残すことに一生懸命でしたから。

――その中でも、リーダーの素質を見出していたということなんでしょうか?

 そうですね。ムネさん、ホンマ見る目あったっすね(笑)。それが僕を成長させてくれた要因でもあるので。逆にそれがなかったら、今こうやってユニフォームを着てるか分からないし……。

――ムードメーカーになったことが、選手としての成長にもつながったと。

 はい。やっぱり、今こうやってできているのも、そのシーズンが境になったと思ってます。
 
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