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期待高まる2年ぶりの“花巻東対決”。菊池雄星vs大谷翔平の勝負を左右する「3つのポイント」とは<SLUGGER>

藤原彬

2021.06.05

メジャーでの通算成績はここまで7打数3安打1本塁打で大谷に軍配。先輩の菊池は2年ぶりの対決でリベンジなるか。(C)Getty Images

 現地時間6月5日、同じ花巻東高出身の菊池雄星(マリナーズ)と大谷翔平(エンジェルス)の2年ぶりの対決が実現する。2019年には7打数で1本塁打含む3安打と、大谷に軍配が上がった。今回はどのような勝負が繰り広げられるだろうか。2人の今季の傾向から注目ポイントを探ってみたい(データは6月3日時点)。

■4シームの球速向上が著しい菊池、速球に滅法強い大谷

 大谷の派手な活躍ばかりに目が行きがちだが、今季は菊池の安定感も光る。直近6先発はすべてクオリティ・スタート(6イニング以上を投げて自責点3以下)。ここまでの防御率3.88は、5点台だった過去2年を思えば「3年目の飛躍」と表現されそうだ。

 好調ぶりを示す例としては、5月11日のドジャース戦での投球が分かりやすい。メジャー移籍後最多の11三振を奪い、奪三振の球種別内訳はカッター4、4シーム3、スライダー2、チェンジアップ2。試合後に「すべてのボールを自信を持って、今年は投げられているかなと思います」と語ったように、以前と比べて三振を奪う球種が多様化している。
 球種ごとでは、目覚ましく向上しているのが4シームだ。4シームの平均球速と空振り/スウィング率、被打率をまとめると以下のようになる。

2019 92.5マイル 15.9% .326
2020 95.0マイル 30.8% .265
2021 95.4マイル 35.8% .188

 高速化に伴い、効力そのものも増しているとよく分かる。4シームですでに被本塁打4本(昨季はゼロ)と痛い目に遭う場面もあるが、「速球の進化」が今季の好投の土台になっていることは間違いない。

 同じく球速が上がったスライダーは、昨季からMLB公式にカッターとして分類されるようになった。投球割合は約4割で、ボール先行時には8割近くと多投。4シームと似たスピードで小さく変化させ、バットの芯を外してゴロ打球を誘発している。

 4シームとカッターの投球割合が併せて7割を超える事実は、次回の登板を一層楽しみにさせる。なぜなら、大谷のメジャー通算62本塁打中46本が速球系のボールを叩いたもので、今季も打率.297&10ホーマーと強さを発揮しているからだ。菊池が投球の軸に据えている4シームとカッターを、大谷がどう攻略するか。矛と盾の勝負が味わえそうだ。