プロ野球

有識者ARAのドラフト通信簿:日本ハムとロッテは高評価! 課題を残した巨人と中日には不安が<SLUGGER>

ARA

2021.10.13

今年のドラフトは「投手が豊作」と言われただけに、投手と野手の指名のバランスも重要となったなかで、各球団への評価は――。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部、田中研治)

 今年のドラフトは投手の人材が豊富と言われ、逆に希少性の高まった野手が2巡目までに10人も指名された。そのため、今回は「野手を早々に確保したうえで、チームの補強ポイントを満たす投手を確保できたか」をポイントとして評価した。順に見ていこう。

●日本ハム
評価:A


 投手は見事一本釣りに成功した達孝太(天理高)に加え、畔柳亨丞(中京大中京高)、松浦慶斗(大阪桐蔭高)と、高いポテンシャルを持つ将来のエース候補を複数確保。長谷川威展(金沢学院大)や北山亘基(京都産業大)といった特徴のあるリリーフタイプもきちんと押さえるなど、抜け目ない選択を評価したい。

 野手は、喫緊の課題であった二遊間に攻撃型の水野達稀(JR四国)、守備型の上川畑大悟(NTT東日本)と対をなす二人で厚みを持たせたうえで、将来の主軸候補として右の有薗直輝(千葉学芸高)、左の阪口樂(岐阜第一高)と上位クラスの選手を指名。昨年に続いてバランスの良い指名に成功した。

●ロッテ
評価:A


 右打者の有望株が少ないと指摘されて久しい球団だが、攻守ともにトップクラスの捕手である松川虎生(市立和歌山高)の一本釣りに成功。長打力に加えて身体能力にも優れる池田来翔(国士館大)も魅力的だ。

 さらに投手では、即戦力度No.1との呼び声高い廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)、速球派の八木彬(三菱重工West)を指名。どちらも三振奪取能力に優れた投手で、1年目からリリーフとして計算できるだろう。また、将来のエース候補として秋山正雲(二松学舎大付高)を確保するなど、バランスの良い指名ができた。
 
●西武
評価:A-


 4球団競合の末、当たりクジを引き当てた隅田知一郎(西日本工業大)と、2位で指名した佐藤隼輔(筑波大)は、左腕としては破格の球速とコントロールを備えている。先発としてははもちろん、リリーフでも活躍が見込めるだろう。

 また、スケールの大きい羽田慎之介(八王子学園八王子高)や黒田将矢(八戸工業大第一高)も指名して、きちんと将来にも布石を打った。野手は守備に定評のある古賀悠斗(中央大)を指名して森友哉のFAに備える構えだ。打撃の確実性に課題が残るのが懸念材料だが、野手育成に定評のある球団の手腕に注目したい。

●楽天
評価:B+


 昨年の投手重視と対をなす、野手重視のドラフトとなった。層の薄い野手の有望株に吉野創士(昌平高)、安田悠馬(愛知大)、前田銀治(三島南高)と長打力と強肩を兼ね備えた選手たちを指名。打撃だけでなく守備でも貢献可能な起用に幅のある選手選択を評価したい。

 投手は将来性豊かな泰勝利(神村学園高)に、多彩な変化球を武器にする実戦的な西垣雅矢(早稲田大)、素材型の松井友飛(金沢学院大)と吉川雄大(JFE西日本)を指名。ただ、昨年指名した投手たちは、1位の早川隆久を除いて一軍に定着していないだけに、早川と同じ早稲田大出身の西垣の活躍には、とくに期待したい。

●阪神
評価:B+


 欠点の少ないバランスの良い指名に成功したと言えるだろう。抽選で小園を外したものの、同じ高校生ビッグ3の森木大智(高知高)を確保。鈴木勇斗(創価大)、桐敷拓馬(新潟医療福祉大)、岡留英貴(亜細亜大)はいずれも、先発でもリリーフでも起用が可能な汎用性の高さを有する。将来のエース候補に加え、来年以降も優勝争いするための盤石な陣容を築き上げた。

 また、将来のレギュラー候補として強打者の前川右京(智弁学園高)、守備に定評のある捕手の中川勇斗(京都国際高)と特長ある選手も確保。長打を売りとする豊田寛(日立製作所)とともに、若手の競争に刺激を与えたい。
 
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