11月４日の就任記者会見で「優勝なんか一切目指さない」「選手の顔と名前をまったく知らない」などなど、球界屈指のエンターテイナーらしい“語録“を次々に繰り出した。“ビッグボス”こと北海道日本ハムの新庄剛志監督である。

　会見では言及しなかったが、就任前にはTwitterで「たまにファンが選ぶスタメン試合を検討しています　その時はよろしくお願いします」（10月30日付）との構想も明らかにしていた。これを本当に実行するかどうかは分からないが、ファンからは概ね「面白い」と肯定的に受け止められている。

　このアイディアは、オープン戦であれば何の問題もなく実現できる。だが、公式戦でとなると話は別だ。真剣勝負の場にそんなパフォーマンスを持ち込んだ日には、「球界のご意見番」などと呼ばれている方々が、苦虫を噛み潰しながら「相手チームに失礼」と言い募る光景が目に浮かぶ。

　しかし、これは本当にそんな問題視されることだろうか？ というのも、仮にファンにスターティング・メンバーを選ばせたとしても、それほど突飛な顔ぶれになるとは考えにくいからだ。出場選手登録されていない者は試合に出られない以上、たとえ面白半分に「１番センター新庄」などと投票しても無意味。首脳陣が普通に選ぶスタメンに、限りなく近くなるはずだ。
  　オールスターのファン投票でしばしば見られるような、愉快犯的な組織票を防ぐには、あらかじめ投票可能なメンバーを用意し、その中から選択する形式にしておけば問題はない。そもそも実施すれば話題になるのは必至で、何度もやって飽きられない限り、実はマイナス面は大してないと思われる。唯一の心配は先発ローテーションが崩れる可能性がある点だが、これも投手を対象外にしておけば解決する。

　ところでメジャーリーグでは、これよりもっとファンを巻き込んだ過激なイベントが過去にあった。公式戦でスタメンどころか、作戦をファンの多数決によって決めたのである。