高校野球

遠くに飛ばすコツを心得た打撃は天下一品!一方で課題は…花巻東の怪物1年生スラッガー・佐々木麟太郎の「現在地」<SLUGGER>

西尾典文

2021.11.27

「全国デビュー」戦となった明治神宮大会でも大活躍。スター性も佐々木の大きな魅力と言っていいだろう。写真:滝川敏之

 現在、最も注目を集めている高校球児と言えば佐々木麟太郎(花巻東)だろう。

 今年、父である佐々木洋監督が指揮を執る花巻東に入学すると、春からホームランを量産し、明治神宮大会終了時点で高校通算本塁打数は49本を数える。史上最多となる高校通算111本塁打を放った清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)ですら1年秋終了時点では22本塁打だったことを考えると、いかにこの数字が規格外かということがよく分かるだろう。

 筆者は夏の岩手大会準決勝の水沢工高戦、秋の東北大会の東日大昌平高戦、そして明治神宮大会での国学院久我山高戦、高知高戦、広陵高戦と計5試合で佐々木のプレーを見たが、そのうち4試合でホームランを放っている。高校通算本塁打数は練習試合も含まれることから、数字通りにその価値を評価することはできないが、レベルの高いチームが相手の公式戦でもこれだけ続けてホームランを打てるというのはやはり只者ではない。

 この夏から秋にかけてのわずかな期間にも着実にレベルアップしており、それは打撃成績にもよく表れている。夏の岩手大会、秋の東北大会、明治神宮大会の成績をまとめてみると以下の数字となった。
■夏の岩手大会
5試合 22打席 21打数 6安打
0二塁打 0三塁打 2本塁打
4打点 1三振 1四球
打率.286 出塁率.318 長打率.571 OPS.889

■秋の東北大会
4試合 18打席 13打数 5安打
2二塁打 0三塁打 1本塁打
4打点 4三振 5四死球
打率.385 出塁率.556 長打率.769 OPS1.325

■明治神宮大会
3試合 12打席 10打数 6安打
1二塁打 0三塁打 2本塁打
9打点 1三振 2四死球
打率.600 出塁率.667 長打率1.300 OPS1.967

 夏の岩手大会では5試合で2本のホームランを放ったものの、打率は3割を下回っている。打ちたいという気持ちが強く出過ぎて、ボール球に手を出すシーンも多かった。ただ、秋の岩手大会では厳しいマークの中でも4割近い打率を残すと、続く明治神宮大会では更に全ての成績を伸ばしてみせたのだ。大会前には左足のすねを疲労骨折していたにもかかわらず、初の全国大会となる舞台でこれだけの成績を残すというのは驚きである。
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打撃だけでなくリーダーシップも大きな魅力