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まぐれではなかった「投手・大谷」の攻略。レンジャーズが示した対策とは?「ゾーンを広くカバーすれば思うつぼ」

THE DIGEST編集部

2022.04.15

レンジャーズ打線(右)に翻弄された大谷(左)。彼らが講じた対策は偉才に対して見事に機能した。(C)Getty Images

 試合前から練っていた"対策"が見事にハマった。

 現地時間4月14日、ロサンジェルス・エンジェルスを本拠地に迎えたテキサス・レンジャーズは、相手先発となった大谷翔平から6得点。見事に4回途中でマウンドから引きずり下ろしたのである。
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 この日のレンジャーズ打線は序盤から活発だった。2点のリードを追っていた2回には連打と四球で1死満塁の好機を創出すると、9番のジョナ・ヘイムが値千金の逆転満塁弾をマーク。試合後に大谷が「失投だった」と語ったスプリットの抜け球を見逃さない好球必打の姿勢が活きた。

 その後も得点を重ね、結局、10対5でエンジェルスを撃破。レンジャーズは同地区のライバルを退けた。

 もっとも、レンジャーズは大谷を得意としてきたわけではない。昨季の対戦では3戦全敗をし、防御率は2.86。むしろ相手にカモにされてきた感すらある。さらにボールゾーンのスイング率がリーグで6番目に高く、スプリットやスライダーなど空振りが取れる球種を多彩に持つ大谷との相性は最悪と言っても過言ではなかった。

 ではなぜレンジャーズは、大谷を捉えられたのか。それは単なるまぐれではない。彼らには明確なプランがあったのだ。

 試合後に「我々の欠点を示すスタッツを考えれば、オオタニに対する数字は非常に厄介だった」と語ったのは、レンジャーズの打撃コーチ兼コーディネーターのドニー・エッカーだ。彼は、地元紙『Dallas Morning News』の取材で、「欲しい球を待って、より質の高いコンタクトをする。我々にはそれができる能力があった」と誇らしげに振り返っている。

 エッカーの語る「欲しい球を待つ」という狙いは、相手エースに対して効果的に作用した。2回には、1死1、2塁という打つ気になりかねない場面でウィリー・カルフーンが冷静にボールを見極めた。この時、大谷は空振りを狙ってスプリットとスライダーを決め球に投じたが、いずれも見送られ、最終的に歩かせた。結局、この四球がヘイムの満塁弾に繋がった。

 指揮官も大谷を切り崩したこの四球を高く評価した。試合後の会見で、クリス・ウッドワードは、こう熱弁を振るった。

「ウィリーがああやって四球で歩いたシーンは、まさに我々が話し続けてきたことだ。あの2球(スプリットとスライダー)は、おそらく誰にも打てない。そして、ストライクゾーンを広くカバーしようとすれば、投手の思うつぼになる。だからこそ、彼は何をすべきかを知っていたんだ」

 おそらくだが、今季の大谷はこうして研究され、苦戦する試合が多くなる。そうした警戒網が敷かれたなかで日本が生んだ至宝がいかにそれをかいくぐるのか。真価が問われるシーズンとなりそうだ。

構成●THE DIGEGT編集部

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