今シーズン中に海外FA権を取得する見込みの千賀は、30歳で23年シーズンの開幕を迎える。小さな故障に見舞われることが多い千賀だが、速球の平均球速は年々増している(昨年は154.1キロ)。昨年は、あのいやらしいスプリッターをさらに進化させた。
あるスカウトは千賀について、ヤンキースのエース右腕ゲリット・コールを彷彿とさせると語った。体格こそまるで違うが、速球と2つの強力な変化球からだ。また別のスカウトは、MLBに行く前のダルビッシュ有を挙げた。当時のダルビッシュは球威はずば抜けていたが、MLB球団が通常日本人投手に求める優れたコマンドはなかったからだ。
「NPBの多くの投手が持っているようなコマンド(狙ったスポットに投げる能力)はない。『Poor』(最低レベル)とまでは言わないがね」
一方、別のスカウトは千賀のコマンドを「20-80」のスケールで「45」と評価した。これはMLB平均を下回っていることを示している。
「MLBの球団は千賀の積極性を気に入るだろう。それに、コマンドが乱れている中でも粘り強く投げる能力もね。彼はストライクゾーンで打者と勝負することを滅多に恐れない」
ホークスではエースの名を欲しいままにする千賀だが、コマンドの問題で球数が増えがちなことから、MLBでの役割について疑問を持つスカウトもいる。
以前は、速球とスプリッターのコンビネーション、彼特有の積極性と負けん気の強さから、千賀はMLBではクローザーに適している、というのがスカウトのコンセンサスだった。だが現在は、スカウトたちの考えも少し変わっているようだ。仮にMLBで先発を務めた場合、千賀は2番手~4番手に位置するだろうとみられている。
あるスカウトはこう言った。
「先発だったら3番手か4番手。だが、MLBでトップ3のクローザーになれるとも思う」
「年齢やこれまでの故障歴を考えると、リリーフより先発の方が労働量を管理しやすいと考える球団もあるだろう。その場合は3番手か4番手だろうね。いずれにしても、先発もリリーフもできるだけの力は持っている」
千賀のこれまでの記録について疑問を投げかけるスカウトもいた。
「あれだけ素晴らしいボールを持っていて、あれだけ強いチームに所属している投手が14勝したことすら一度もないなんてことがあり得るのか? 彼が試合で見せている支配力と結果が見合っていないように思えるね」
「彼がシーズンを通じて打者を完全に圧倒する姿を見てみたいね。それだけのことは十分できそうに思える」
文●ジム・アレン
※スラッガー責任編集 NSK MOOK『2022プロ野球ベストプレーヤーランキング100』より転載
【著者プロフィール】
1960年生まれ。カリフォルニア大サンタクルーズ校で日本史を専攻。卒業後に英語教師として来日し、93年から取材活動を開始。現在は共同通信の記者として活躍中。ベイエリアで育ち、子供の頃は熱心なサンフランシスコ・ジャイアンツのファンだった。
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「NPBの多くの投手が持っているようなコマンド(狙ったスポットに投げる能力)はない。『Poor』(最低レベル)とまでは言わないがね」
一方、別のスカウトは千賀のコマンドを「20-80」のスケールで「45」と評価した。これはMLB平均を下回っていることを示している。
「MLBの球団は千賀の積極性を気に入るだろう。それに、コマンドが乱れている中でも粘り強く投げる能力もね。彼はストライクゾーンで打者と勝負することを滅多に恐れない」
ホークスではエースの名を欲しいままにする千賀だが、コマンドの問題で球数が増えがちなことから、MLBでの役割について疑問を持つスカウトもいる。
以前は、速球とスプリッターのコンビネーション、彼特有の積極性と負けん気の強さから、千賀はMLBではクローザーに適している、というのがスカウトのコンセンサスだった。だが現在は、スカウトたちの考えも少し変わっているようだ。仮にMLBで先発を務めた場合、千賀は2番手~4番手に位置するだろうとみられている。
あるスカウトはこう言った。
「先発だったら3番手か4番手。だが、MLBでトップ3のクローザーになれるとも思う」
「年齢やこれまでの故障歴を考えると、リリーフより先発の方が労働量を管理しやすいと考える球団もあるだろう。その場合は3番手か4番手だろうね。いずれにしても、先発もリリーフもできるだけの力は持っている」
千賀のこれまでの記録について疑問を投げかけるスカウトもいた。
「あれだけ素晴らしいボールを持っていて、あれだけ強いチームに所属している投手が14勝したことすら一度もないなんてことがあり得るのか? 彼が試合で見せている支配力と結果が見合っていないように思えるね」
「彼がシーズンを通じて打者を完全に圧倒する姿を見てみたいね。それだけのことは十分できそうに思える」
文●ジム・アレン
※スラッガー責任編集 NSK MOOK『2022プロ野球ベストプレーヤーランキング100』より転載
【著者プロフィール】
1960年生まれ。カリフォルニア大サンタクルーズ校で日本史を専攻。卒業後に英語教師として来日し、93年から取材活動を開始。現在は共同通信の記者として活躍中。ベイエリアで育ち、子供の頃は熱心なサンフランシスコ・ジャイアンツのファンだった。
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