ロサンゼルス・エンジェルスの先発右腕マイケル・ローレンゼンは、現地時間6月17日に行なわれたシアトル・マリナーズ戦で制球を乱した。5回(96球)を投げて7失点と結果も最悪なものとなった。
低調なパフォーマンスに終始した彼の投球を代表するようなワンシーンとなったのが、5回2死で迎えたジャスティン・アップトンとの対戦だ。4月末にエンジェルスをDFA(戦力外)となっていた元同僚と対峙した右腕は、カウント2-2からの6球目にシンカーを投球。これがすっぽ抜けると、34歳のベテラン打者のこめかみ付近に直撃してしまったのだ。
真剣に打ち取りに行っていた直前の投球を見ても、故意ではないのは明らかだった。しかし、会場がマリナーズの本拠地であったため、スタンドからは小さくないブーイングが巻き起こった。
試合後、元同僚で、この日にマイナーから昇格してきたばかりだったアップトンへのデッドボールについて意見を求められたローレンゼンは、「あのボールが滑ったんだよ。僕はどうしてこの(滑る)球が使われているのか分からない」と主張。そのうえで、MLBへの怒りを滲ませた。
かねてからMLBの公式球は「滑りすぎる」という指摘があったのは事実だ。それは昨夏の東京五輪にアメリカ代表として参加したMLB通算108勝と実績十分のスコット・キャズミアーは、「全く違う。MLB球を比較したらすぐに分かると思うけど、僕はこっちのほうが好きだ」とNPBで採用されている球の質への意見を語っていたほどだ。
すっぽ抜けた球が、相手打者の頭部に直撃してしまうケースはこれまでもなかったわけではない。だが、ローレンゼンは「まったくばかげてる」と球質を改善しようとしないMLBへの不満を口にした。
「アップトンへのボールは僕の手から完全に滑り抜けた。自分でも信じられないぐらいだ。子どもの時から『MLBって最高の場所だ』と夢見て来た。だけど、ここに辿り着いて気づいた。一体全体彼らのやっていることって何だ? 彼らは突然、球界全体を変えようとしているんだ。
僕だけじゃない。こないだはケビン・ゴーズマン(トロント・ブルージェイズ)も大変だったと聞いている。だから、リーグ全体で影響があるんだと思う。この球は滑るし、何よりも人をケガさせる。それをMLBは認知しているのにやってるんだ。彼らが計画してやってることは本当に信じらないよ」
奇しくも頭部へのデッドボールが浮き彫りにしたMLBの球質問題。はたして、ローレンゼンが声高に叫んだ指摘は、米球界を取り仕切る人々に届くだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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低調なパフォーマンスに終始した彼の投球を代表するようなワンシーンとなったのが、5回2死で迎えたジャスティン・アップトンとの対戦だ。4月末にエンジェルスをDFA(戦力外)となっていた元同僚と対峙した右腕は、カウント2-2からの6球目にシンカーを投球。これがすっぽ抜けると、34歳のベテラン打者のこめかみ付近に直撃してしまったのだ。
真剣に打ち取りに行っていた直前の投球を見ても、故意ではないのは明らかだった。しかし、会場がマリナーズの本拠地であったため、スタンドからは小さくないブーイングが巻き起こった。
試合後、元同僚で、この日にマイナーから昇格してきたばかりだったアップトンへのデッドボールについて意見を求められたローレンゼンは、「あのボールが滑ったんだよ。僕はどうしてこの(滑る)球が使われているのか分からない」と主張。そのうえで、MLBへの怒りを滲ませた。
かねてからMLBの公式球は「滑りすぎる」という指摘があったのは事実だ。それは昨夏の東京五輪にアメリカ代表として参加したMLB通算108勝と実績十分のスコット・キャズミアーは、「全く違う。MLB球を比較したらすぐに分かると思うけど、僕はこっちのほうが好きだ」とNPBで採用されている球の質への意見を語っていたほどだ。
すっぽ抜けた球が、相手打者の頭部に直撃してしまうケースはこれまでもなかったわけではない。だが、ローレンゼンは「まったくばかげてる」と球質を改善しようとしないMLBへの不満を口にした。
「アップトンへのボールは僕の手から完全に滑り抜けた。自分でも信じられないぐらいだ。子どもの時から『MLBって最高の場所だ』と夢見て来た。だけど、ここに辿り着いて気づいた。一体全体彼らのやっていることって何だ? 彼らは突然、球界全体を変えようとしているんだ。
僕だけじゃない。こないだはケビン・ゴーズマン(トロント・ブルージェイズ)も大変だったと聞いている。だから、リーグ全体で影響があるんだと思う。この球は滑るし、何よりも人をケガさせる。それをMLBは認知しているのにやってるんだ。彼らが計画してやってることは本当に信じらないよ」
奇しくも頭部へのデッドボールが浮き彫りにしたMLBの球質問題。はたして、ローレンゼンが声高に叫んだ指摘は、米球界を取り仕切る人々に届くだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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