プロ野球

【2019総括・ソフトバンク】リーグ優勝を逃すが、圧倒的な選手層で3年連続日本一。どこも止められない試合運びの巧さも光った

氏原英明

2019.11.29

3年連続日本一になったソフトバンク。戦力層に支えられたシーズン終盤からの試合巧者ぶりが抜群だった。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

▶2019 収穫と誤算

 2年続けてリーグ優勝を逃しながら、3年連続の日本一に輝いた。
 
 今季も故障者が続出した。ヒットメーカーの中村晃が自律神経失調症などで出遅れ、開幕してからは柳田悠岐が左太腿の負傷で長期離脱を余儀なくされた。さらに今宮健太、デスパイネ、川島慶三、上林誠知ら主力が続々と戦列から離れた。

 投手陣も、石川柊太が開幕から姿がなく、前年から復帰が遅れていた岩嵜翔も間に合わなかった。バンデンハーグは腰痛などでシーズン終盤まで3登板のみ。武田翔太はコンディションが安定せず、東浜巨、和田毅もなかなか戦力にはなれなかった。

 それでも、シーズン終盤まで首位でいられたのは、選手層の厚さに他ならない。
 序盤は牧原大成、今宮が引っ張り、その後は代わる代わる多くの選手が主力の穴を埋めた。明石健志、川島慶三らベテラン、周東佑京、釜元豪、三森大貴などだ。

 全試合出場は松田宣浩だけだが、甲斐拓也、内川聖一は常にチームの中心にいて、若手が躍動しやすいような環境づくりを忘れなかった。

 投手陣はエースの千賀滉大、2年目の高橋礼が君臨。彼らで計算できる勝ち星を挙げながら、先発ローテーションは激しい競争をする中で、シーズン終盤に整えていったのだった。

 ブルペン陣はクローザーの森唯斗が堅実な仕事。離脱期間が数試合あったものの、ルーキーの甲斐野央はチーム最多の65試合に登板、モイネロ、そして、高卒4年目の髙橋純平が独り立ちし、戦力の穴を埋める活躍を見せたのだった。

 そしてシーズン終盤には、投打ともに主力選手が復帰。それまで支えてきた選手たちちとうまく噛み合い、ポストシーズンでは「選手層」を見せつけての圧倒的な闘いぶりだった。楽天とのCSファーストステージ第2戦から怒濤の10連勝。2位からの連覇であっても、これだけの強さを見せつければ、誰も異論を唱える人はいなかった。

 ただ、リーグ制覇を逃したことによる、選手たちの「意地」が日本一に導いたのは間違いないが、優勝マジックを先に点灯させながら、西武に追い抜かれたことは想定外だろう。

 ポストシーズンのあの強さをシーズンを通して持続できなかったことは、怪我人の多さも含めて、来季への課題になる。