侍ジャパン

杉内俊哉や千賀滉大が奮闘した「第2先発」の重要性。侍J世界制覇のカギとなる役割を担うのはいったい誰か?【WBC】

THE DIGEST編集部

2023.03.02

杉内(右)や千賀(左)といった好投手たちも過去のWBCでは、「第2先発」としての責務を見事にこなした。(C)Getty Images

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も第5回目ともなると、もはや当然のこととして認知されているポジションがある。先発投手の後を受け、ロングリリーフをする「第2先発」だ。

 WBCには球数制限があり、先発投手の完投は困難。65球しか投げられない1次リーグでは、先発が5回まで到達しない場面はザラにある。その際に第2先発が、なるべく長いイニングを投げ、リリーバーに繋ぐ役目を果たす。

 これまでも侍ジャパンでは第2先発が輝きを放った。第1~3回大会では杉内俊哉(元巨人)が責務を全う。第4回大会は千賀滉大(メッツ)や則本昂大(楽天)が務めた。もはや「第2先発」はWBCにおいて確立されたポジションと言っていい。

「チームの実戦で第2先発をやってみたんですけど、あんまりうまくいかなかった。だから、普段は登板日前日に投げないんですけど、ちょっと1回やってみようかなと思って、ブルペンに入りました」

 そう語ったのは、宮崎で行なわれたソフトバンクとの壮行試合の2戦目で第2先発を務めた高橋奎二(ヤクルト)だった。

 普段は、登板前日にブルペンに入らないという高橋奎は第2先発としての調整に試行錯誤をしていた。先述の話は25日のものだが、翌26日に第2先発として登板することが決まっており、いつもと違う調整法を取り組んだ理由を話したのである。
 
 NPBの公式球よりも滑るWBC球の順応より難しいのが、この役割をこなし切ることだ。いつ登板のタイミングが来るかわからない緊張感が常にあり、準備の難しさがある。時にイニング途中からの登板も考えられ、集中力の持続が難しい。

 前回大会はその負担を減らすために、イニング途中の場合はリリーバーを挟み、イニング頭から第2先発を投入するという策をとっていたが、今大会は栗山英樹監督の方針で、どんな展開であっても先発タイプが投入される見込みになっている。

 今大会で、その役を務めそうなのが、高橋奎のほかに、今永昇太(DeNA)、宮城大弥(オリックス)といずれもサウスポーが居並ぶ布陣だ。彼らに期待されるのはイニングの消化と、相手打者を幻惑だろう。

 侍ジャパンの先発ローテーションは、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)が担うと見られている。彼らに共通しているのは、ストレートの速さ。加えて、スライダー、スプリットを持ち球にしたパワーピッチングが4人も魅力だ。

 第2先発に同タイプの右投手を並べるとストレートの球速などに見劣りしてしまうと打者の目が慣れてしまう。それを避けるうえでもサウスポーである彼らが重要なキーを握るというわけだ。腕を勢いよく振る高橋奎、全ての球種をコントロールよく投げられる今永、緩急を自在に操る宮城といった具合だ。
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今永が「ちょっとヤバイ」と感じた第2先発の課題