侍ジャパンの主力打者たちが打席に立つと、その刹那、相手の守備は大きなシフトを敷いた――。データ野球が主流になりつつある世界の潮流をこの目で体感したのは、2016年の侍ジャパン強化試合でのことだった。
小久保裕紀監督率いる侍ジャパンは、翌年の第4回WBCを控え、メキシコ代表、オランダ代表との強化試合に臨んでいた。両国ともベストメンバーではなかったとはいえ、本番を想定した戦いを挑んできていた。
その"想定"の一つが、当時すでにMLBで多用されていた、打者によって守備陣形を大きく動かすやり方だった。
今でこそ、NPBでも、ヤクルトやオリックス、DeNA、日本ハムなどが場合に応じて大胆なシフトを敷くようになったが、16年の日本ではほとんど見られなかった。
そんな中、メキシコやオランダは当たり前のようにシフトを使ってきた。
当時、主軸だった山田哲人(ヤクルト)、筒香嘉智(現レンジャーズ)が打席に立った時はかなり大きく守備を動かしていた。
中でも驚かされたのが筒香の打席だ。
常識的な考え方では、対右打者は左側、左打者なら右側に寄せる。しかし、この時のメキシコ代表は、山田の打席では左方向にシフトしたが、筒香の時は内野手だけが右方向に寄っただけで、外野手は深めには守ったものの、大きく右へ動くことはなかった。
【PHOTO】衝撃の2打席連続ホームランを放ち、会場を沸かせた大谷翔平を厳選写真で特集! メキシコ代表スタッフの一人が明かす。
「データはある会社に依頼したものを参考にしたものだ。筒香はプルヒッターだと聞いているが、それはあくまでゴロの場合のみだ。ライナーの場合は広角に打つバッターだというデータがある」
ごもっともな話だった。
当時の筒香は、左中間からレフト方向へホームランを打つことができるバッターだった。長打なら逆方向にも打ってくるというのは、日本球界では広く知られている話だった。
しかし、これは国際試合なのである。世界的に知られた選手でもなかった筒香に対しても、そこまで鮮明に特徴をデータで解明されていたことに、ただ驚くしかなかった。
さらに、17年の本大会で日本と対戦したオーストラリアも、同じように日本対策を講じていた。
ドジャースのスカウトとしても知られる、オーストラリア代表のジョン・ディーブル監督は日本の強化試合を現地で観戦しただけでなく、1次リーグで1対4と惜敗した後に次のように語っていた。
「我々はいいスカウティング・レポートを持っている。今日の試合はそのレポートのおかげだと思っている。2つ3つミスがあったが、私たちの戦い方は誇らしいものだった。自信を持っていきたい」
小久保裕紀監督率いる侍ジャパンは、翌年の第4回WBCを控え、メキシコ代表、オランダ代表との強化試合に臨んでいた。両国ともベストメンバーではなかったとはいえ、本番を想定した戦いを挑んできていた。
その"想定"の一つが、当時すでにMLBで多用されていた、打者によって守備陣形を大きく動かすやり方だった。
今でこそ、NPBでも、ヤクルトやオリックス、DeNA、日本ハムなどが場合に応じて大胆なシフトを敷くようになったが、16年の日本ではほとんど見られなかった。
そんな中、メキシコやオランダは当たり前のようにシフトを使ってきた。
当時、主軸だった山田哲人(ヤクルト)、筒香嘉智(現レンジャーズ)が打席に立った時はかなり大きく守備を動かしていた。
中でも驚かされたのが筒香の打席だ。
常識的な考え方では、対右打者は左側、左打者なら右側に寄せる。しかし、この時のメキシコ代表は、山田の打席では左方向にシフトしたが、筒香の時は内野手だけが右方向に寄っただけで、外野手は深めには守ったものの、大きく右へ動くことはなかった。
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「データはある会社に依頼したものを参考にしたものだ。筒香はプルヒッターだと聞いているが、それはあくまでゴロの場合のみだ。ライナーの場合は広角に打つバッターだというデータがある」
ごもっともな話だった。
当時の筒香は、左中間からレフト方向へホームランを打つことができるバッターだった。長打なら逆方向にも打ってくるというのは、日本球界では広く知られている話だった。
しかし、これは国際試合なのである。世界的に知られた選手でもなかった筒香に対しても、そこまで鮮明に特徴をデータで解明されていたことに、ただ驚くしかなかった。
さらに、17年の本大会で日本と対戦したオーストラリアも、同じように日本対策を講じていた。
ドジャースのスカウトとしても知られる、オーストラリア代表のジョン・ディーブル監督は日本の強化試合を現地で観戦しただけでなく、1次リーグで1対4と惜敗した後に次のように語っていた。
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