ワールド・ベースボール・クラシックのプールB開幕を翌日に控えた3月8日、各国が会場となる東京ドームで公開練習を実施。本大会に向けた文字通り最終調整を行なった。
そのなかで、ピリついた空気を漂わせたのは、中国を率いるディーン・トレーナー監督だ。練習後の記者会見に登場するやいなや、「まずひと言申し上げたいことがある」と遮り、中国代表に対する報道に異を唱えた。
「先日、私はこのような記者会見の場に出ました。しかし、数日たったあと、『日本との対戦に白旗を上げた』という記事を目にした。私はこの仕事を長年してきたが、このようなことが起きたのは初めてだ。私の目の前に白旗がはためいているのは日の丸だけだ」
静けさのあった会見室に75歳の老将の怒声が響き渡った。
トレーナー監督が怒ったのは6日に行なわれた西部ガス(社会人チーム)との強化試合後の会見で口にした“ジョーク”が原因だった。チームが2対6で敗戦を喫した直後に「もしも、可能なら大谷選手が球場入りする時に、タクシーやバスが遅れてくれることを願っています」とユニークな表現で心境を吐露。しかし、これが多くの日本メディアや海外メディアの間で「日本に白旗を上げた」と報じられてしまったのである。
自身の想いとは異なる方向に曲解されてしまったために、トレーナー監督は「それは正しいことではない」と断言。さらに「メディアの皆さんの仕事に対しては理解してるつもり」と前置きしたうえで、こう続けた。
「中国代表が白旗を上げたことは、いまだかつて一度もない。私は中国代表が日本に勝つことができると思っている。『白旗を上げた』と報じられたことは悲しい。それは私が本心から言った発言ではない。それはハッキリと申し上げておきたい」
そして、「たしかにチャレンジかもしれないが、日本だけでなくチェコやオーストラリア、韓国にも我々はベストを尽くす。チームのために身体を張ってでも何でもする」と強調したトレーナー監督。下馬評は決して高くはないが、思わぬ形で闘志に火がついた中国代表をあなどるべきではない。
取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)
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自身の想いとは異なる方向に曲解されてしまったために、トレーナー監督は「それは正しいことではない」と断言。さらに「メディアの皆さんの仕事に対しては理解してるつもり」と前置きしたうえで、こう続けた。
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そして、「たしかにチャレンジかもしれないが、日本だけでなくチェコやオーストラリア、韓国にも我々はベストを尽くす。チームのために身体を張ってでも何でもする」と強調したトレーナー監督。下馬評は決して高くはないが、思わぬ形で闘志に火がついた中国代表をあなどるべきではない。
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