プロ野球

ヤクルトが “泥沼10連敗”と低迷する理由。髙津監督の開幕前の不安が的中! 交流戦で「村神様」復活なるか?

生島淳

2023.05.30

交流戦前に10連敗を喫したヤクルトは、リーグ5位に低迷している。写真:滝川敏之

 まさかの10連敗である。

 セ・リーグ連覇中の東京ヤクルトスワローズは、17勝28敗で首位阪神とは14ゲーム差の5位で交流戦に突入することになった。

 開幕直後は好調だった。最初の10試合を7勝2敗1分。今年もスワローズは堅調……と思っていたが、投打の歯車が噛み合わず、5月はここまで6勝15敗1分で、この2週間は勝ち星がない。

 いったい、なにがスワローズに起こったのか?

 春季キャンプの時点から、髙津臣吾監督は危機感を持っていたのはたしかだった。

「余裕をもって先発ローテーションを組みたいんですが……駒が足りないですね」

 開幕から2カ月、ここまでローテーションを守っているのは小川泰弘、サイスニード、吉村貢司郎の3人。WBCから帰ってきて、期待の大きかった高橋奎二は5試合の登板にとどまり、5月5日以来、一軍での登板がない(ファームで30日に登板予定)。

 唯一、明るい材料は今季獲得したピーターズで、防御率は1.57と安定した投球を見せている。

 交流戦では先発ローテーションをしっかりと立て直したいところ。打線の援護になかなか恵まれないこともあって、先制点を与えない粘りの投球が求められている。

 今週末に神宮で行われるイーグル戦は雨の予報が出ているが、スライド登板の可能性もあり、疲れがたまっている選手については休養を与えるなど、うまくローテーションの再編につなげたい。
 
 また、5月はブルペンが打ち込まれるケースが目立った。リーグ連覇の原動力には「7回石山泰稚(2021年は今野龍太)、8回清水昇、9回マクガフ」という勝利の方程式の存在があった。

 今年はマクガフが抜け、修羅場に強い田口麗斗がクローザーに回ったが、勝ちパターンの継投に持ち込む以前、中盤にリードされている場面で投入される中継ぎが踏ん張れず、さらにリードを広げられ、苦しい展開に陥る試合が多い。

 髙津監督の哲学として、
「中盤にリードしている試合はもちろん、6回の時点で1点差、2点差で負けているゲームは全力で勝ちに行く」
というものがある。

 交流戦では木澤尚文、星知弥、小澤怜史らの中継ぎが立て直せるかが反撃のポイントとなる。
 
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打線も苦しい展開。三冠王の村上はチャンスを活かせず…