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プロ野球

岡田タイガース最大の強みは投手陣の制球力。18年ぶりの優勝へ向けて改善必須な2つの弱点とは?<SLUGGER>

DELTA

2023.07.04

高卒2年目の前川。彼のような若手外野手が18年ぶりリーグ優勝のキーマンかもしれない。写真:産経新聞社

高卒2年目の前川。彼のような若手外野手が18年ぶりリーグ優勝のキーマンかもしれない。写真:産経新聞社

 今季から岡田彰布監督が指揮を執る阪神が好調だ。交流戦に入り失速はしたものの、7月3日時点で貯金は12。2位DeNAに1.5ゲーム差をつけて首位に立っている。

 では、今季の阪神にはどういった特徴があるのだろうか、また優勝に向けてのカギは何だろうか。データで検証してみたい。

 まずは長所から考えてみよう。昨季から変わらず、今季も大きな強みになっているのは投手陣だ。1試合平均失点はセ・リーグ最少の2.99点。阪神は決して守備陣が優れているわけではなく、これは投手陣の働きによる部分が大きい。

 特に優れているのが与四球を抑える能力だ。対戦打者に対し、どれだけの割合で四球を出したかを表すBB%(与四球/打者)という指標で見ると、今季の阪神は6.3%。これはセ・リーグだけでなく12球団トップの値である。しかも、エースの青柳晃洋が不調でありながらこの数字を残していることも特筆すべきだ。とにかく与四球が少なく、無駄な走者を出さない投手陣が今季の阪神の最大の強みと言っていいだろう。

▼2023年セ・リーグBB%(与四球/打者)
阪神        6.3%
DeNA        6.7%
ヤクルト    7.3%
広島        7.4%
巨人        7.8%
中日        7.9%
 与四球を出さないことは昨季から継続している強みだ。ただ、今季の阪神は新たな強みも生まれている。出塁率の高さだ。昨季の阪神は出塁率が.301でセ・リーグワースト。得点を奪うための前提条件とも言える出塁が圧倒的に不足していた。

 しかし、今季はリーグ2位の.317まで劇的に改善している。要因としては、昨季から近本光司や中野拓夢らの四球が増えたことが大きい。こうした出塁率の改善もあって、1試合平均得点は昨季の3.42点から3.81点まで大幅に上昇。出塁率アップがそのまま得点力の向上にもつながっている。

 一方、当然ではあるが弱点もある。出塁率の向上について述べたが、実はそうして出した走者を効率的に還せているわけではない。長打力が低いためだ。長打力を測る指標ISO(長打率-打率)を見てみると、今季の阪神は.0989。リーグで2番目に低い値だ。

▼2023年セ・リーグISO(長打率-打率)
巨人        .150
DeNA        .126
ヤクルト    .119
広島        .113
阪神        .098
中日        .089

 野球において、得点は「出塁」と「長打」の掛け算によって効率良く増加していく。得点を増やすにはこの両方をバランス良く高めることが必要なのだ。すでに説明したとおり、阪神の場合この2要素のうち、「出塁」についてはリーグ随一ではある。しかし長打力不足によって出塁力を活かしきれていない。DeNAに得点力で迫るにはこの部分の改善が必要である。

 その意味では、チームに少ない大砲でありながら現在二軍に降格している佐藤輝明の復活は大きなカギとなるだろう。
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