プロ野球

【現役ドラフトを考える Vol.2】THE DIGEST私案:最も重要なのは出場機会。ウェーバーではなく選手に選択権を

出野哲也

2019.12.16

18年は72試合に出場し、日本シリーズではスクイズを決めた西田。だが、19年は7試合の出場に終わった。写真:朝日新聞社

 このほど概要が明らかになった現役ドラフトは、球団側が恣意的に放出可能な選手のリストを作成できる点で、ルール5ドラフトとは微妙に違う。ただ、戦力として考えている選手を指名対象外とし、そこに含まれない者をウェーバー順で指名していく点など、基本的な発想はおそらく同じである。

 しかし、ここではまったく別のやり方を考えてみたい。球団側がプロテクト/放出リストを用意するのではなく、ある条件を設定して、そこから外れる選手を自動的に指名対象とする形だ。その意図するところは、現役ドラフトのそもそもの目的である「飼い殺しの防止」にある。球団側からある程度実力を評価されているから手元に置かれる=プロテクトされて飼い殺しになるわけで、半強制的に移籍を可能にしてしまうわけだ。
 
 当然ながら、主力級で活躍している選手は最初から対象外にしなければならない。具体的なラインとしては「そのシーズンで25試合もしくは50イニング以上投げた投手」「60試合以上出た野手(捕手は30試合)」は一軍戦力と見なして外す。ただ、これだけだと、故障で離脱していた選手が含まれないので「その前年に30試合もしくは60イニング以上投げた投手」「80試合以上出た野手(捕手は40試合)」も条件に加える。

 同様に、まだ入団して日が浅い選手や20歳そこそこの選手も「飼い殺し」には当たらないから外していい。一番明確な線引きは25歳未満、および入団5年目までの選手を除外する方法だ。ただし5年目以内でも30歳を超えている場合は対象としたほうがいいだろう。FA補償では対象外になっている育成選手も、制度の目的から当然含める。FA権を持っている者も、自由に移籍できるのだから対象外でいい。トレードなどで移籍して1年以内の選手も外す。

 これなら、FA補償の際にしばしば聞かれる「なぜあの選手をプロテクトから外したんだ」といった批判を浴びなくて済むから、球団側にとっても好都合。選手にしても自分の立場は分かっているので、プロテクト漏れなど余計な心配をしなくていいメリットもある。
 
NEXT
PAGE
ソフトバンクを例にしてみると…?