満票でMVPに輝いた2021年の打棒を再現するような勢いで、前半戦にホームランを量産した大谷翔平(エンジェルス)。2年前は後半戦に13本塁打と失速してキングの座を逃しただけに、今度こそ本塁打王を獲得できるか大いに注目を集めそうだ。
それだけではない。得意の6月に球団新記録15本を叩き込んだ勢いを持続できれば、昨年、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が樹立したばかりのア・リーグ年間記録(62本塁打)更新も夢ではない。
比較対象として、過去に前半戦だけで35本塁打以上を量産した6人の後半戦とシーズン合計の数字をまとめた。
■2001年 バリー・ボンズ(ジャイアンツ):前半戦39本/後半戦34本→73本
■1969年 レジー・ジャクソン(アスレティックス):前半戦37本/後半戦10本→47本
■1998年 マーク・マグワイア(カーディナルス):前半戦37本/後半戦33本→70本
■2013年 クリス・デービス(オリオールズ):前半戦37本/後半戦16本→53本
■1998年 ケン・グリフィーJr.(マリナーズ):前半戦35本/後半戦21本→56本
■2001年 ルイス・ゴンザレス(ダイヤモンドバックス):前半戦35本/後半戦22本→57本
一見して分かるように、前半戦で本塁打を量産した打者でも、シーズン合計本数にはばらつきがある。前半戦史上最多の39本を放ったボンズは、後半戦の72試合でペースアップしてMLB記録のシーズン73本に達した。マグワイアも当時の前半戦最多を塗り替え、最終的には史上初の70本に乗せている。今季の大谷は安打の約半分が長打だが、当時のボンズは156安打中107本、実に3分の2が長打で、マグワイアも152安打のうち91本と凄まじいパワーを発揮した。 マグワイアと同様にグリフィーJr.も1998年のホームラン狂騒を巻き起こした強打者だ。その年は今季の大谷と同じ29歳と脂が乗った年齢で、最終的には二冠に輝いた前年に続き、2年連続で本塁打王に輝いた。ゴンザレスは30歳を過ぎてから長打力が一気に開花(そのため、薬物使用を疑う声もあった)。57本塁打を記録して01年は球宴ホームラン競争にも優勝、ポストシーズンでも3ホーマーを放って球団初の世界一に貢献した。
一方、後半戦に大きく失速したのはジャクソンとデービスだ。ともに前半戦だけで37本塁打を量産しながら、オールスター以降はそれぞれ10本、16本と急激にペースダウン。デービスはそれでも本塁打王を手にしたが、ジャクソンはタイトルも逃している。
そして先述したように、大谷も21年は後半戦大いに苦しんだ。この時は自身の不振に加え、相手投手がまともに勝負しなくなったことも本数が伸び悩む要因となった。チームがこのままプレーオフ争いから後退し、途中トレードされることもなければ、ファンの関心はMVPと本塁打王獲得、そしてジャッジの記録更新に絞られる。ちなみに、昨年のジャッジは前半戦33本に対して後半戦も29本とペースが落ちなかった。果たして大谷は21年の二の舞を避けることができるだろうか。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
それだけではない。得意の6月に球団新記録15本を叩き込んだ勢いを持続できれば、昨年、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)が樹立したばかりのア・リーグ年間記録(62本塁打)更新も夢ではない。
比較対象として、過去に前半戦だけで35本塁打以上を量産した6人の後半戦とシーズン合計の数字をまとめた。
■2001年 バリー・ボンズ(ジャイアンツ):前半戦39本/後半戦34本→73本
■1969年 レジー・ジャクソン(アスレティックス):前半戦37本/後半戦10本→47本
■1998年 マーク・マグワイア(カーディナルス):前半戦37本/後半戦33本→70本
■2013年 クリス・デービス(オリオールズ):前半戦37本/後半戦16本→53本
■1998年 ケン・グリフィーJr.(マリナーズ):前半戦35本/後半戦21本→56本
■2001年 ルイス・ゴンザレス(ダイヤモンドバックス):前半戦35本/後半戦22本→57本
一見して分かるように、前半戦で本塁打を量産した打者でも、シーズン合計本数にはばらつきがある。前半戦史上最多の39本を放ったボンズは、後半戦の72試合でペースアップしてMLB記録のシーズン73本に達した。マグワイアも当時の前半戦最多を塗り替え、最終的には史上初の70本に乗せている。今季の大谷は安打の約半分が長打だが、当時のボンズは156安打中107本、実に3分の2が長打で、マグワイアも152安打のうち91本と凄まじいパワーを発揮した。 マグワイアと同様にグリフィーJr.も1998年のホームラン狂騒を巻き起こした強打者だ。その年は今季の大谷と同じ29歳と脂が乗った年齢で、最終的には二冠に輝いた前年に続き、2年連続で本塁打王に輝いた。ゴンザレスは30歳を過ぎてから長打力が一気に開花(そのため、薬物使用を疑う声もあった)。57本塁打を記録して01年は球宴ホームラン競争にも優勝、ポストシーズンでも3ホーマーを放って球団初の世界一に貢献した。
一方、後半戦に大きく失速したのはジャクソンとデービスだ。ともに前半戦だけで37本塁打を量産しながら、オールスター以降はそれぞれ10本、16本と急激にペースダウン。デービスはそれでも本塁打王を手にしたが、ジャクソンはタイトルも逃している。
そして先述したように、大谷も21年は後半戦大いに苦しんだ。この時は自身の不振に加え、相手投手がまともに勝負しなくなったことも本数が伸び悩む要因となった。チームがこのままプレーオフ争いから後退し、途中トレードされることもなければ、ファンの関心はMVPと本塁打王獲得、そしてジャッジの記録更新に絞られる。ちなみに、昨年のジャッジは前半戦33本に対して後半戦も29本とペースが落ちなかった。果たして大谷は21年の二の舞を避けることができるだろうか。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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